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喚ばれてみれば…
16.異世界2日目(1)

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「いいかい圭君。このロケットに薬が5つ入っている」

 銀色に輝くロケット…僕の担当医であるお医者さんに言われ、上部部分をキュキュッと音を立てて中に入っている錠剤を確認する。

「圭君が1人で外出するにはだいぶリスクがある。それでも、これなら突然発作がおきても自分で取り出して飲めるだろ?」

 にこやかな笑みを見せる先生は、最期の僕の我が儘をよく聞いてくれる。

 だから、尚更こんなもの(薬)を使わないように…身体を大事にしないといけない。



 薬が尽きる…すなわちそれは、僕の死を意味しているのだから…。

*****



 目覚めると誰もいなかった。

 それがわかったのは、突然の発作が起こった時。

「くっっ………」

 胸をかきむしるより、まずは薬を飲まなくちゃダメだと、日頃から慣れしたしんだ行動をとっさにする。

 でも、首から下げているロケットは首元になくて、必死で昨日のことを思い出し探す。

 昨日は素っ裸にされる前に………あ!ベッドの横にあるテーブルにピンク白の子供が置いたはずっ!

 必死に起き上がり、ロケットの中から薬を1つ取出し口に入れ飲み込む。



 水を飲む暇もないほどの苦しい状況は、いつ経験しても慣れないなー。

 痛む心臓を抑えながら、なぜかのん気にそんなことを考えてしまった。



 こんな変な行動をしている僕に誰も何も言わない。

 いつなら、看護師さんが飛んで来るのになぜだろう?

 ………あぁ、そうか僕は今異世界にいるんだった。

 それでも、誰も何も言わない状況に、今僕は1人だということを確認できて、どうすることもできない現状に部屋を意味もなく見回してみる。

 部屋中に蜘蛛の巣のように張り巡らされている赤黒い糸…。

 気持ち悪いと思うが、力の入らない僕が触れると雪のように消えてしまう。

「あぁ、こんなにすぐ消えるから、あの人達は何も思わないのか…」

 発作から幾分回復した僕は、か細い声で誰に聞かせる訳でもなく呟く。

 なぜか、この時負の感情が流れた気がしたが、僕は気のせいだと思い首を振る。



 これが、この世界の常識なら………て、窓から龍が飛翔している姿が見える時点で、なんでもありで納得というか。

 日本で知られる龍ではなく、西洋ドラゴンの姿をしているこの世界の龍は、きっと最強の生き物のはずで、こんな気味の悪い赤黒い糸など、あってないようなものなのだろう。



 ………僕はこれからどうなるのだろう?

 また昨日のようなことをされるのだろうか…。

 窓から飛翔する龍を眺めながら、昨日のことを想い出していた。


[★逆召喚][召喚☆]

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