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うさぎの初恋
◆05.再び、私立英修高校。

◇◆【視点なし】◆◇

 私立英修高校………男子校で超有名な進学校。

 校舎は数年前新築されており、白を基調にした近代的な建物だ。

 1に勉強、2に運動ができなくても勉強…3、4がなくても、5に勉強をしましょう!をモットーに。

 まぁ、兎に角、運動などできなくても勉強ができれば全て良し!という感じの高校だ。

 クラス分けは成績順だが、その中で異彩のように輝きまっくっているのがS組である。



 S組…成績は言わずとも優秀であることが必須だが、家柄、特に上流家庭であることも求められる。

 そもそも、私立英修高校はそのためにできた学校であり、数年前まで一学年3クラスまでしかないような、ある意味特別な高校だったのだから、現在もその名残で、S組を特別視する傾向が強いのかも知れない。

◇◆◇◆◇



◇◆【兎三山朱里視点】◆◇

 S組の生徒は、15名が上限。

 減ることはあるが増えることはない。



「せめて、金に物を言わせてS組にすることができれば………。と、そう言っても、それを許すような学校ではないし…うさぎは、断固拒否しそうだし…」

「ん?会長、何か言った?」

 生徒会室で思わず呟いた声が、会計に聞こえたようで俺は苦笑いしつつ「何でもない」と答える。

 兎三山朱里(とみやま しゅり)…私立英修高校2年S組、生徒会会長、ウサギの慈善団体名誉会長、TOMIYAMAの玩具メーカーの経営にも口が出せる。

 俺の肩書を捜せば、まだまだたくさん見つけることができるが、今重要なのは俺が英修の会長だという点だろう。

 ため息をつきつつも、立川長耳(たつかわ ながみ)副会長自ら作製した調査書をもう一度眺めてみる。



【生徒会役員の親衛隊の動きが活発になっている。対策としては―――】

 そのような文字が躍る調査書をじっと眺めて………最後の手書きの長耳の文字が哀しく見えるのはなぜだろう?

【せめて、うさぎ君がS組だったら、制裁なんて起きないんだけどね(※S組は家柄良しも必須なので)】

 長耳よ、的確すぎる文字がなぜか揺れて見えるよ。←朱里思わず涙目。


[*の後退]の前進*]

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