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うさぎの初恋
◆12.緊急事態。

「僕達のところもだけど、会長のところはどうなってんの?」

 里美から鋭い突っ込みが入る。

 これには、俺の親衛隊の実態を知らない新入生の里美ならではの質問ではあるが、今回は返事をするのにためらいがある。



 本来、俺の親衛隊は、誰が見ても穏便派で「あそこは問題ないよ〜」と思われているのだが、長耳の調べによってそれも覆さなければないらいようだ。

「長耳、あの書類に不備はないな?」

「はい。たしかに、生徒会役員全部の親衛隊が結束して動いています。もちろん、朱里のところも漏れていません」

「珍しいな、兎三山のところはお前の指示がない限り動かない…ある意味兎三山至上主義の者ばかりだろう?」

 素で驚いている城ケ崎が俺に問うが、それはこちらとしても同じであって。

「聞くしかないんだよな…」

「朱里、嫌なのはわかりますが、今回ばかりはあなたの隊が一番早く動かせますし…うさぎ君のためにはここは―――」

「もちろんだ!!うざきのためなら、親衛隊の呼び出しの一つや二つ!!」

 ため息交じりに俺は呟くが、長耳の「うさぎ君のため」に俊敏に反応してしまう。

「「「………」」」

 うさぎの出会い以来、四六時中生徒会室で惚気ているので、いまだに会ったことのない城ケ崎先輩や里美まで『いかに、俺がうさぎに惚れているか』わかってもらえているはずなのに…なぜか、3人に冷たい視線を浴びてしまった。

 とっ、兎に角、視線に負けず、親衛隊を呼び出すため口を開くが、ここで。



 ♪♪♪〜

 緊張感のないケータイの着信音が響き、(ちなみに曲は、ポル●グラフティーのミュージック・ア●ーだ)一斉に音の出所を捜すと。

 長耳!!お前か!?

 一瞬、素で怒り顔になるが、それもケータイに出た長耳の台詞で事態は急変する。

「朱里!うさぎ君が行方不明のようです!!しかも、連れ去ったのはどうやら親衛隊のようで―――」

 長耳の最後の台詞まで聞かず、すぐに俺は叫ぶ。

「風間(かざま)!出て来い!!」

 俺の呼びかけに壁が揺れた。


[*の後退]の前進*]

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あきゅろす。
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