うさぎの初恋
◆36.床下の隠し通路。
なんて、のん気に見ているが、長耳親衛隊副隊長が足止め取り出したのは『銃』だった。
これは以前小芝居で観ているので(※新歓の『ベルサイユの○薇』)、銃の形をしたライターだとわかるが、長耳親衛隊副隊長がそれを使うより早く声が掛る。
「朱里様っ!床下にある隠し通路にっ!!早くっ!!」
「風間?」
どこからともなくあらわれた風間に呆然とするより早く、うさぎや草間もろとも床下に連れ込まれる。
そこには、城ケ崎先輩や里美もいたが、それを確認するよりも俺の親衛隊達が床下の隠し通路の先を急がせるので、慌ててついて行く。
床下は、高さが1m弱、横幅も2人同時に這っていくことができる大きさで…且つ、非常灯らしきものもチラホラついている。
床下とは思えないくらいのちゃんとした道………前理事長が作ったからくりだな。
瞬時にそれを理解し、呆れるを通り越して頭痛がしてくるが、その数十秒後に、大きな爆発音が響く!?
ドッカーーーーーーン!!
「なんだっ!?」
「会長、育ちゃんが言ってたけど………たぶん原因は『粉塵爆発』じゃないかな?」
「はぁ?………て、待てよ!それじゃ、長耳+長耳親衛隊&演劇同好会は!?」
里美の言葉に血の気がサァーっと下がる。
マズイ!!
あいつ等は何をしても死なないような予感しているが(←何気に酷い朱里)、これはかなりマズイ状況だろう?
うさぎ達のことを親衛隊に任せて引き返そうとすると、俺の横をなぜかシマリスが通過する。
「………」
無言…。
どう見てもペットショップでよく見かける小動物の『シマリス』…走る姿が鈍く、思わずじっと背中のシマシマを見つめてしまう。
俺以外もそう思わずにいられず、無言に見送ってしまうが、思うことは1つで「なぜここに、シマリスが?」ということだろう。
シマリスの動きが鈍い理由は、身体に巻き付けている白いものだが、それを確認するより早く、俺達を先導していた風間の背に乗る。
生徒会室で見たオウムしかり、これも俺の親衛隊の持ち物(ペット)だと確信した瞬間。
案の定、風間はシマリスに括りつけられていた紙を手にし、そこに書かれている文字を確認しているようだ。
長耳を助けに行くより、この変態親衛隊(自分の親衛隊だが)の行動が気になり、その場に留まると風間から声が掛る。
「朱里様、別部隊の親衛隊の報告で、立川様はじめ立川様の親衛隊の救出が成功したとのことです。尚、けが人もいないとのことで、立川様が現校舎側の講堂に集まるよう指示がきていますが」
風間の指示で別親衛隊が活躍していたらしいと理解ができた。
ホッと胸をなでおろし、「風間、よくやった」と言うと、風間は嬉しそうに頷き、その後もシマリスを背に載せたまま、床下の隠し通路の抜け道を案内していく。
[*の後退][の前進*]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!