うさぎの初恋 ◆11.新入生歓迎会の一幕。 「で、でもさ!新歓の時の演劇同好会は本当にすごかったよね!!」 目をキラキラさせて、里美は新歓の様子を語るが、あれは見るものが見れば悪夢に見えなくもない。 ◇◆【新入生歓迎会】◇◆ 新入生歓迎会は、1ヶ月ちょっと前…4月某日に行われた。 ※ちなみに、うさぎはサボりのため出席していない。 進学校のため学問第一だが、それでも、部活動&同好会は存在しているので、おざなり程度に発表の場が設けられ、普通ならサラッと新歓行事の一環として流される予定だったのだが…。 「それでは、次は演劇同好会による新入生歓迎に贈る『ベル●イユのばら』です!」 マイクを握る放送委員のこの台詞に、一番最初に反応したのは長耳だが、止めるには一足遅かった。 ステージ上で行われる「オ●カル〜!!」、「アン●レ〜!!」など、頻繁に叫びまくり暑苦しい愛憎劇。 そして、最後のシメとばかり「バ○はバ○は気高く咲いてぇ〜、●ラは●ラは美しく散ぃ〜〜〜るぅ〜♪」と、演劇同好会全員で大合唱されてしまった。 まぁ…しかしだ、それだけならまだ良かった(?)のだが、それプラスして可愛い男達が宝塚調の化粧に衣装であらわれれば、喜ぶものとそうでないものが存在するはずだ。 ちなみに喜んだのは、新入生と2、3年生の演劇同好会の裏の顔を知らない者達。 のち、演劇部のこれを歓迎しなかった者は、少なからずダメージが与えられ、進級してはじめての試験がめちゃくちゃに下がった者がいたとかいないとか…。 ◇◆◇◆◇ 「私はアレを観てから3日間、悪夢にうなされました…」 長耳は素で顔を青ざめながらそう話すが、俺だって数日間食欲が落ちたと心の中だけで訴えてみる。 それにしても黒幕が見えているのに、この調子では長耳でも対応できないことが簡単に予想できた。 「さて、どうするか…」 先手必勝はこの際もう無理と諦め、次の手を打とうとするが、ここで、もっとも俺が聞かれたくなったことを質問されてしまう。 [*の後退][の前進*] [戻る] |