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うさぎの初恋
◆09.親衛隊。bQ

「そうですか…。それじゃ、のちほどでいいので、親衛隊のほうに確認をとってもらって………と、そう言えば、城ケ崎先輩はバイクの免許を取るのですか?」

 生徒会では、城ケ崎先輩の天然体質を知っているので、確認する意味でそう聞くが、ここで幼馴染であり親衛隊より城ケ崎先輩の保護者となっている、書記の里美がくわっと八重歯をむき出しにして大声を張り上げる。

「会長!!そのことで聞いてよ!!」

 里美は自分のことをチャラ男っと公言していて、進学校にあるまじき派手な容姿に、アクセサリーをたくさんつけている。

 その姿で、ジャラジャラ音を鳴らしながら、突進して来る様は、ある意味妙な迫力があるが、とりあえず、話しを聞く体制に入る。



「な、なんだ」

 突進してきた里美は、俺の顔面寸前まで顔を近づけて来たので手で制止し、問いかけると、と、その前に里美は袖をまくり、傷だらけの腕を見せたうえで、城ケ崎先輩の『二輪車』について熱く語る。

「育ちゃん(←城ケ崎先輩のこと)てば、自転車にも乗れないのにバイクの免許を取りたいって言いだして、教習所に通おうとするんだよ!!僕ってば、それを(城ケ崎育義)親衛隊から聞いて、止めたんだけど…」

 次に姿はチャラ男のくせに妙に可愛い仕草をしつつ、涙目になる。

 うさぎの方が断然可愛いが、里美のこういう表情が自身の親衛隊にモテる所以なのだろう。



「なんとなく予想がつきますけど、里美はその城ケ崎先輩が『二輪車』………自転車に乗れるように付き合っているのですね」

 憐みの表情で里美の続く言葉をサラッと長耳が言うと、美里は涙目から…マジ泣きになって、「こっちの傷は●日前、そんでもって、これは●日前のもの!!」と、切々と語り続ける。

 このままだと、親衛隊の動向を聞く前に里美の泣きごとで終わってしまいそうになるので、強引にテッシュ箱を里美顔面に押し付け、話しを進める。

「ところで、里美のところの親衛隊は?」

「ぶっしゅーーー、へぇっ?」

 盛大な音で鼻をかみながら、間抜け面を晒している里美。

 4月に入学して1ヶ月半ほどで、親衛隊なるものを抱えている里美だが、その実中学時代から頻繁に英修に出入りしていたため、その発足は1年前ほど前からだったりする。

 なぜに中学時代里美が英修に出入りしていたかというと………何もないところでも転ぶ育ちゃんが心配だから…っとのことだが、今はその話しではない。



「えっーーーと………僕のところの親衛隊は、カワイコちゃんとかカワイコちゃんだから、みんな良い子だよ!!」

 目を泳がせながらいう里美に、ここで教育的指導の鉄拳(拳骨)が入る。

 ゴツッーン!

「ゆり!また、親衛隊を蔑ろにしているのか!?」

 妙に小気味いい音が生徒会室に響くが、本人としては「いったぁーーーい!」との言で、またしても涙目になり、コブができであろう頭をしきりに撫でる。

 ここで教育的指導+怒声を上げているのは、珍しく物静かな城ケ崎先輩ではあるが、その怒り顔は男前ならではの迫力がある。

「だって〜!」

「『だって』じゃない!!いくら、ムキムキ………筋肉がたくさんある人達が作る親衛隊だからといって、ちゃんとゆりのことを考えている皆さんなんだから仲良くしろって言っているだろ!」

 城ケ崎先輩、素で『ムキムキメン』って言いそうになりましたね。


[*の後退]の前進*]

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