うさぎの初恋
◆07.からくり仕掛けの旧校舎。
なにが旧校舎で起こったかというと、解体作業中、作業員が神隠しのように消える事件が勃発したのだ。
別に、神隠しと言っても、数日間姿を消すわけではなく、数時間後消えた場所から少し離れた場所で発見されたりするのだが、その恐れからか、作業員の間で体調も悪くする者達が続出し、結局、呪いだ!祟りだ!と作業員が騒ぎ出し、解体ができなくなったのだ。
事の真相など知りたくないかもしれないが、このようなことだ。
可愛い外観の旧校舎…そして内部は、和洋折衷という造りになっていた。
モダンなテラスがあるかと思えば、国語室などと呼ばれる場所は総タタミ敷きの部屋があったりする。
そして何より、内部は理事長の趣味が多数取り込まれており、からくり屋敷と化していた。
であるからして、作業員の神隠しは、壁がいきなり動き別な場所に追いやった結果がそうなってしまったことであり、落とし穴にはまった作業員が気絶した結果であり………まあ、真相などそんなものだ。
ならば、事の真相をはじめから作業員に伝えていれば…などと、思っている人がいるかもしれないが、それは、事態が大きくなってから調べた教師達によって発見されたことで、気づいた時にはもう手遅れだった。
からくり仕掛けになっていた真相を隠していたのは理事長。
ちなみに、作業員が旧校舎に入ってから『からくり』装置のスイッチを押していたのもこの人だ。
「だって、僕の趣味で造った建物だし、防犯は(ある意味)完璧だし、できれば残してもらいたくて…」
我が儘いっぱいの理事長の言葉に、その時行われていた理事会は頭を抱えたらしいが、解体業者が他の業者に呪いの噂を広めたせいで取り壊すことなどできなくなっていた状況に、さすがに解体は諦めざるおえなくなった。
そのため、旧校舎は現在もそのまま残り…部活&同好会棟として使用することになり、使用している生徒はそれなりに楽しんでいるとか。
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