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うさぎの初恋
◇うさぎとショッピング bQ◆

「どうしてもダメ?………実は、3日前に小遣い尽きちゃって…」

 うさぎのいつもの台詞…。

 3日前というと、うさぎのペット、ウサギの『殿ちゃん』のハーネスを買った時か?



「殿ももう高齢だし、本当は『うさんぽ』をしなくてもいいけど、殿は外が好きだから連れて行ってやりたくて…」

 『殿ちゃん』が高齢のため、安定感のあるハーネスをいつも以上に必死に選ぶ、うさぎ。

 雄介は、ウサギのハーネスのことはよくわからなくて、その姿を黙って見つめていた。



 上記↑のやり取りを思い出したら、ついつい小遣いが発散しようがどうでもよくなる。

 ………分かっている、これがいつもの悪循環につながることは(嫌と言うほど)…。

 しかし、手に財布を持った状態ではもう運命は決まっているようなもので…。

 うさぎの顔がバァァーーー!っと、笑顔になる。

 周りにいる人達は男女問わず、うさぎの変わりように見とれるが、ここでうさぎの背後に見知った人物が立ち、雄介の手が止まる。



「う、うさぎ、ぐ、偶然だな、こんなところで…」

 明らかに偶然ではない台詞と状況…。

 しかし、頬を染め現れた人物に苦笑いするほかなくて、雄介は財布をジーンズのポケットに戻す。

 兎三山朱里…『TOMIYAMA』玩具店の経営やその他関連企業にも高校生というのに携わっていて………そして、うさぎが初恋だという人物である。

 俺の行動に一瞬うさぎは抗議するように目を鋭くするが、うさぎの背後の人物に「何がいいものあったのか?」と、聞かれると嬉々としてウサギ時計の可愛さを説明し始める。



 数分後…。

「兎三山先輩、あとうさぎのこと任せていいですか?」

 俺の言葉に兎三山先輩は、頬を指で掻きながら「悪いな…」と、声を掛ける。

 『悪いなんて思ってない癖に!』…いたずら心で、兎三山先輩に口を開くが、その前にうさぎが兎三山先輩の服を引き、またしても今度は隣にあるウサギ商品の説明をし始める。

 もう俺のことは眼中にないようだ。



 そっと静かにその場を離れると、肩を叩かれた。

 振り向くと兎三山先輩の幼馴染である立川長耳先輩が笑っていて。

「朱里が迷惑かけたようで悪かったね」

「いえ…」

「本当はこの企画で、うさぎ君とデートなんて考えていたらしいけど、商品の配置やらなんやら全て自分でやるって聞かなくて、結局、開店ギリギリまで忙しく走り回っていて連絡できなかったんだ」

 呆れてものが言えない…。

 そこまでいくといっそ清々しい………何て思わないが、同情を禁じ得ないというか。



「うさぎ君は何か欲しいもの見つけたかな?」

 ええ、そりゃーもう!!ショーケースの中全部がうさぎ欲しいものですから!!

 これ↑は、雄介の心の声なのだが、それを正確に読み取った長耳は、深く頷き「全て朱里が買い上げてくれるよ」っと、どこのパトロンだ!と、叫びたくなることを平然と発言する。



 しかし、遠目に見るうさぎはとても楽しそうに笑っているのを見ると…。

「そうですね…」

 雄介は笑みを浮かべ、思わず呟いてしまう。

 うさぎが幸せなら「まぁ、いっか〜」と、思えてしまう雄介であった。






番外編 『うさぎとショッピング』END

※何だかんだいって、雄介はうさぎに甘いですね


[*の後退]

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