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宝物♪
☆strawberry feels(こえださま)



「…じゃあそろそろ寝るか。タカヤは…。」

不安げにオレを見つめるタカヤ。一緒のベッドで寝ようだなんて言えるわけがない。

「…タカヤはオレのベッド使え。オレはここに布団敷くから。」

「…はい。」

タカヤはオレに背を向け、もそもそとベッドに潜り込む。オレはその後ろ姿に向かって声をかけていた。



「…そんなにオレのこと信用できねー?」

「っ…!」

タカヤの後ろ姿が強張るのが分かった。

「あんな、オレは好きなやつが嫌がってんのに無理やりヤったりするシュミねーの。」

「あ…っ…、」

「オレは…タカヤがいいって言うまで待つからさ。…っ、じゃおやすみっ!」

急に恥ずかしくなってきて早口でまくし立てた。ガラにもなく頬が熱い。クソッ、乙女かオレは。

電気を消して素早く自分の布団に潜り込んだ。タカヤに背を向けた体勢で固く目を瞑る。





タカヤとそういう関係になってそろそろ三ヵ月になる。今日は家族が誰もいないのをいいことに、タカヤを家に呼んで朝までゲームをするつもりだった。

…けど恋人を家に呼んでお泊まりっていえば、そりゃすることは一つだ。オレにそのつもりはなくてもタカヤはかなり意識しているらしく、緊張してまともに目を合わせてもくれない。

気持ちは分かるけど、オレってそんなに信用できない?タカヤはオレとするのそんなに嫌?考えれば考えるほど頭の中がネガティブ一色に染まる。

結局何をしてもギクシャクして盛り上がらず、することもなくなったオレたちはすぐ床に就くこととなった。





(…参ったな。眠れねぇ。)

密室に二人っきり。そりゃオレだってめちゃくちゃ意識してる。オレも男だ、もちろんそういう欲求がないと言えば嘘になる。けど、いつもキスしただけで小さくなって震えるタカヤを見ていると、とてもじゃないけどその先に進むことはできなかった。

ヘタレと笑うなら笑えばいい。けどオレは怯えたタカヤ相手に夜這いして傷つけるほど堕ちちゃいないつもりだ。



(はぁ…、くっそ…。)

オレのベッドにタカヤがいる。そう思っただけで身体が熱くなった。振り向いたらきっとそこには無防備に眠るタカヤの姿。組み敷いて無理やりコトに及ぶなんて簡単なこと。けどそれじゃだめなんだ。意味ねーんだよ。(やっべー、もう限界。便所行ってヌいてくるしか…。)

オレが起き上がろうとした時、後ろでもそっと音がした。背中に感じる温かな体温。

タカヤだ。タカヤがオレの布団の中に入ってきた。オレは息を潜め身を固くした。心臓がバクバクうるさい。



「元希さん…寝ましたか?」

背中にすりすりと顔を擦りつけてくる。触れられた部分がじんわり熱くなる。コイツ寝ぼけてんのか?冗談じゃねーぞ、こっちは理性保つのだってギリギリだっつーの!

何となく返事をせずに寝たふりをしていると、タカヤの行動はますますエスカレートしていった。背中に置いた手をするすると腰に滑らせ、何度も撫で回し、誘うように身体を密着させる。脚を絡める。めったに触ろうとしない左腕にそっと触れる。息が当たるほどの距離に、オレは成す術もなく身体を強張らせることしかできない。



「元希さん…スキ。」

項に囁かれたところでオレの理性はプツンと途切れた。振り向きざまにタカヤの両手首を掴み、その場に押し倒す。暗闇の中でタカヤは驚いたように目をしばたかせる。



「元希さん…?起き…っ!?」

「…今ならまだ許してやる。自分のベッドに戻れ、オレの理性があるうちに。」

「あ…。」

「意味分かんねぇ。あんだけビクビクしてたくせに結局オレのこと誘ってんの?オレがその気になったらどーすんだよ、なぁ?言っとくけどこんな細っこいカラダで抵抗したって無駄なんだからな。」



タカヤは落ち着きなくキョロキョロ目を動かし、消え入りそうな声で呟いた。

「いいですよ…その気に…なっても…。」

「え…?」

「お、オレ今日本当はそのつもりで来ました…。身体もしっかり洗ったし、心の準備だって一応…。」

何?何言ってんだコイツ?タカヤの言っている内容が咄嗟に飲み込めず、オレはうろたえた。

「ごめんなさい。えと、自分から言うの恥ずかしくてその…元希さんのこと、ユーワクしちゃいました…。ダメ、ですか…?」

タカヤが緊張してた理由。それはオレを信用できないからじゃなかった。二人きりのこの状況、期待してたのはオレだけじゃなかったんだ。



「おまっ…コノヤロー!」

「ふぎゅっ!」

タカヤが圧迫死しそうなくらいぎゅうっと抱きしめた。何かもうタカヤが好きすぎてどうしたらいいのか分からない。どんなに好きって伝えても、キスして抱きしめても、まだまだ全然足りない。



「も、元希さん…当たって…」

オレの膨らんだ股間が、タカヤの腰に当たって固く主張している。

「おめーが可愛すぎだからです。」

暗闇のおかげで顔の赤さは誤魔化せたと思う。タカヤに深く口付けながら、シャツの中に手を入れた。



「っ、あ…ん…んんっ…!」

まだまだ未発達な身体はどこか幼さを残している。反応する身体とは裏腹に、タカヤの気持ちはまだ快感についていけていない。

「はっ…、そこ…へん…っ!」

「変じゃなくて気持ちいんだろ?ほら、乳首勃ってる…ここも。」

「んやぁあ…っ!」

戸惑いながらの反応が可愛くて、身体中に触れてはキスをした。首筋にいっぱい残した愛の証。スミからスミまでタカヤの匂い。オレの大好きな匂い。

滲み出る先走りを舐めとると、触ってくださいと言わんばかりに腰が浮く。白い太股を撫でながらローションを手に取り、尻全体に垂らした。



「ひぁっ!冷た…っ!?」

「我慢しろ。慣らさねーと辛いからな。」

後ろに何本か指を入れて動かす。初めての感触にタカヤは不快げに眉を顰める。けど決して嫌がることはなく、オレのシャツをキュッと握って耐えていた。



「…そろそろ挿れていいか?」

タカヤはビクンと肩を震わせてオレを見た。丸い瞳がうるうると揺れる。そりゃ初めては誰だって怖いだろう。オレだって怖い。タカヤのことをめちゃくちゃに傷つけてしまいそうで。

オレはタカヤを安心させるように、左手で背中をぽんぽんと撫でてやった。



「…ゆっくり挿れるぞ。痛かったら手挙げろよ。」

「…歯医者じゃねーんだから…。」

タカヤの照れ隠しのツッコミを無視して、ゆっくりと中に突き挿れた。指とは比べ物にならない圧迫感。タカヤは小さくなって震え、おずおずと手を挙げた。



「悪ィ…痛いか?」

「っ…痛くないけど…怖い、です…」

止めるかと問うと、ブンブン首を振ってオレの背中にしがみついた。

「怖い、から…こうしてていいですか…?」

「…いいに決まってんだろ、ばぁか。」

「あぁ、そ、それ…から、そのっ…!」

タカヤの言いたいことくらい大体分かる。痛くない程度に力を込めぎゅうっと抱きしめてやると、安心したのかそっと目を閉じた。蒸気したほっぺたに一筋の涙が零れる。



「動くからな。痛かったら爪立てろよ?」

中を傷つけないように細心の注意を払いながら抜き差しを始めた。痛みに歯を食いしばるタカヤだったが、律動を繰り返すうちに艶を帯びた声を漏らし始める。



「声、出した方が楽だろ。誰もいねーんだから気にすんな。」

「あっ…元希さ、…うっ、はひゃ…っ!」

オレの動きはタカヤの中で確実に快感に変わりつつあるみたいだ。背中に回したタカヤの指にギュッと力がこもる。



「もろきさっ、イく…イきますっ…!」

「いいぜ…。オレもそろそろヤベーし。」

「や、ダメ…!ふやぁああっ!」

腰を速めながら前を扱くと、タカヤはピンと足を突っ張らせてイッた。オレはイく寸前で素早く引き抜いて、タカヤの腹の上に欲を吐き出した。





「はぁっ、バーカ…。爪立てろっつったろ。こんなんなるまで手ぇ握りやがって…。」

タカヤはオレの背中を傷つけまいとしてか、ずっと拳を握りしめていた。自分の爪が食い込んで手のひらが少し赤くなっている。

「と…投手を怪我させるなんて、捕手失格ですから…。」

バカ野郎。捕手だって身体大事なんだぞ。それがタカヤなら尚更のことだ。



「…生意気なんだよ!タカヤのくせに。」

お前は何も分かっちゃいねー。捕手とか投手とか全部抜きにして、オレのこと頼ってほしいんだよ。

傷一つない自分の背中がちょっとだけ疎ましい。この背中がいつかタカヤの爪痕だらけになればいい…こいつが遠慮なくオレを求めてくれますように。

ガラにもなくそう願いながら眠りについた。





strawberry feels
(痛みは甘く鈍く、溶けてオレの一部になる。)





 

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あきゅろす。
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