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宝物♪
You Are The One For Me.(梶本悠月さま)
俺は電車に乗り込み、元々ニヤついているような俺の顔を更にニヤつかせている。

(何も言わずに来たら驚くだろうな。)



けれど、島崎にとって憎らしい思いをする放課後となった。


「隆也!」

恋人の名前を堂々と呼び片手を振ると

「慎吾さん!?」

予想通りの反応を見せてくれる。それが嬉しくて目を皿の様に丸くして立ち尽くしている隆也に近付いていくと…。

「あ、べ君!ま、まま待って!」

「タカヤ!お前置いてくなよな!」


後から隆也の口からよく出てくる180度性格の違う投手二人が走って来る。

「三橋、と…あんたか」

「あんたじゃねぇ!元希さんて呼べ!」

「はいはい。…!どうした三橋?」

「阿部…君 一、緒 に帰…ろ?」

「あぁ。慎吾さんいいですか?」

「構わないよ。(構わないけどなんで隆也の手を握ってんだ?)」

「三橋、手を握るな。幼稚園児じゃねーんだから。…って、元希さんも肩に腕を回さないで下さい。」

「いーじゃん!肩を抱いたってさ。昔はよくやってたし。」

「おっ 俺だって!阿部くっ…手、手を握っ、て くれたっ!だだだから…!」

「あ〜分かった分かった。好きにしろ。」

「……。」

(“好きにしろ”?…俺が手を繋いでもすかさず跳ね退けるのに。肩を抱いてもだ…!)

まるで、二人は島崎の存在等お構いなしに阿部の頭を撫でたり触れたりしている。

「たか…「タカヤ!今度家に来いよ!」」

「い、嫌ですよ!なんで俺が…。」


島崎の声は榛名の声によって消され榛名のお誘いは阿部にアッサリ断られた。


それでも、島崎は隆也が榛名や三橋とヨロシクやっているせいで中には入れない為に酷くつまらない。


(隆也は…相変わらずか。)

阿部をチラ見すると三人で楽しげに話している。

それを見た島崎は
(タイミングが悪かった)と半ば思っていたものから(なんで、こいつらばっかり!)
と思い始めた。

「……。」


島崎は自棄になり“自分が居なくてもいいだろ”等と思い始める。

結果、何も言わずに一人脇道へ入りバス停へと向かって行く。
カラスの鳴き声が聞こえる虚しさと苛立ちが増加する。

「あ〜つまんねぇな。」

溜息ついて乱暴に空き缶を蹴った。
空き缶は遠くへ飛んで行ったが未だ目の前で三人が歩いている残像が見えた。

「あ〜ぁ…!って、隆也!」

急に何を思ったのか島崎は逆走する。今までのスピードなんて目じゃない速さだ。


「隆也!!」

息を切らしたまま数メートル前を未だ三人で歩いている恋人の名前を呼ぶと、恋人である“隆也”は二人に向かって何か言って島崎の方へ歩いていく。

島崎の目の前に立つと不敵に笑って

「たまには妬いて下さいよ。」

と言い残してすたすたと二人の元へ。





「やだ。」

と言いながら島崎は阿部を抱きすくめたまま三橋と榛名に

「隆也は俺のだから返してね。」

と言い残して二人には知らない場所へと隆也を連れてった。

   

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あきゅろす。
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