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宝物♪
道の向こう(梶本悠月さま)
何時もと変わらない道

変わらない場所



今日から違うのは


大好きな君が特別なご褒美を持ちながら待っているってこと



「隆也!」

利き手をいっぱい伸ばして手を振る。
周りには鬱陶しい程に人がいるけど、不思議と隆也をいとも簡単に見付ける事が出来た。


「準太さん!流石ですね。10分前に来るなんて。」

「ご褒美頂戴?」

「は?」


同い年の俺様投手と違って待たせてないんだからご褒美ぐらいいいだろ?

減るもんじゃねぇし。


隆也に顔を近付けると


「っ!?」

「ご褒美です。」

隆也は持っていた一本の缶珈琲の蓋を開け準太の口にくっつけた。

「これが?」

「いらないんですか?」

「……。」

黙って缶珈琲を受け取る。


「で、何処に行きます?」

「とりあえず、なんか食わねぇ?」


練習後に待ち合わせした為に準太は何も食べずに来ていた。
それは隆也も同じ。

「それじゃ、そこ入ります?」

隆也はほんの数メートル先の食堂を指差した。


中が空いていた為に準太は内心

(此処空いてるけど味、大丈夫なのか?)

と失礼な事を考えていた。

「準太さん、何にします?俺は炒飯にしますけど。」

「あ、じゃあ俺も炒飯でいいかな。」

「分かりました。」

隆也は店員を呼び注文をした。

ほんの数10分で目の前に置かれた炒飯を食べたが味に問題は無かった。


「隆也ご褒美の事なんだけど。」

「なんすか?」

返事はするものの視線は炒飯に向いている為に話をちゃんと聞いているのか分からないが話を続ける。

「何時になったら缶珈琲じゃなくなる?」

「…。そうですね。何時にしましょうか?」

「俺は今すぐでもいいぐらいなんだけど。」

「そうですか。」

「…ご褒美はキス…だからな。」

「!!あ、あんたこんなとこでなんてことを!」

顔を真っ赤にさせる隆也に準太はクスリと笑って

「小声だったから聞こえてねーよ。」

と言った。
それに対してぶつぶつ言っていたが

「次に会う時からにしましょう。」

と言ってくれた。


数週間前にした約束

それが嬉しくて

今日は今まで以上に


いつもと同じ道の向こうへと足を踊らせる


大好きな君からずっと欲しかったご褒美を貰う為に。
 

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あきゅろす。
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