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リクエスト小説
昼下がりの秘めごと(相互リンク記念 弐犬さま)

(あ、阿部君 だ…!)

たくさんの人の中から大好きな笑顔を見つける。


オレのこの想いを知ったら君は、一体何て言うんだろう?



昼下がりの秘めごと



ぽかぽかの日差しが暖かい、5時間目の授業。
田島君も泉君も浜ちゃんも、気持ちよさそうに寝息を立てている。いつもなら絶対そのうちの一人なはずのオレだけど、今日は窓の外にジャージ姿の阿部君が見えるから。

もったいなくて寝れないよ。


(あ べ くん…)

声には出さずに名前を呼べば、どうしようもなく愛しさが込み上げてきて仕方がなかった。
退屈な授業も忘れて、オレの心はただひたすら阿部君だけ。


(す き)

口に出す、文字に書く。
想いを伝える勇気はないけれど、このたった二文字の言葉がまるで魔法みたいにオレの心をくすぐって。
生まれて初めてのこの気持ちに浸る時間がとてもあったかくて幸せなんだ。

だから、もったいないって思いながらもぽかぽかの日差しと眩しい阿部君の笑顔を見てたら、ついうとうとと微睡んでしまって。





「…はし、三橋っ!」
「うひっ!?」

オレは誰かに身体を揺さぶられて目を覚ました。いつの間にか休み時間みたいだ。
顔を上げると、田島君がオレの目の前に立っていた。

「阿部が呼んでる。お前、現国の教科書借りっぱなんじゃないの?」
「え……?あぁっ!!」

そういえばこの教科書、阿部君に借りてたんだ!次の時間使うからすぐに返せって言われてたのに…。
田島君に言われてドアの方を見ると、案の定怒った顔をした阿部君がいた。

「どどど、どーしよ、田島く…!」
「どーしよって…ほら、返してこいっ!」

バシッと背中を叩かれてよろよろと阿部君の元へ向かうと、おそるおそる教科書を差し出す。

「…阿部く」
「バカやろっ!せっかく教科書貸してやったのに寝てんなっ」
「ごめんなさいぃ!」
「…ったく、次オレ当たるんだからな!」

丸めた教科書でオレの頭をぽこっと叩くと、そのまま阿部君は7組へと帰っていった。その背中を見つめながら、浮かんだ言葉をまたひとつ呟く。

「すき…」



……あれ?
そういやオレ、あの教科書に何か書かなかったっけ。寝ぼけてた…のかな。


まぁ、いっか。




*END*

______20080401
わかりにくい話になってしまった…!「あれ、三橋何か書いてたっけ?」って遡って頂ければ何とか意味は通じる…かしら。通じないかしら。
こんな意味不なお話、弐犬に捧げます…!

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