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リクエスト小説
ヒーローに告ぐ(相互リンク記念 まはるさま)

オレの恋人は、みんなのヒーロー。

付き合う前は気付かなかったこと。いつも飲み込んでしまう言葉。


バッターボックスへ向かう田島は、



ヒーローに告ぐ



「なぁなぁ阿部!昨日のオレ、かっこよかった?」

(……かっこよかったよ)
(その小柄な身体がホームランを放つことはないけれど、)
(お前が一番…誰よりもかっこよかった。)

「阿部、何か元気ない?」
「……んなことねェよ」

オレの部屋。
ふざけているのか馬乗りになって聞いてくる田島に、オレは素っ気ない態度で答える。それが気に入らなかったのか、唇を尖らせながら拗ねる姿はまるで子どもだ。

「…何、考えてんの」
「は?」
「そんな顔して…どうしたんだよ?阿部、試合の時から元気なかった。」

それなのに、ふいに見せる真剣な顔。まっすぐに見つめてくるその瞳。まるでオレの心の全てを見透かすような、その。
思わず顔を背けようとするけれど、オレの頬は田島の両手に挟み込まれて逃げられない。

――弱い心を、暴かれてしまう。

「阿部。」
「………だ、」
「え、何?」
「……野球してる時の田島なんか、大っ嫌いだ…」

…バッターボックスへ向かう田島は、みんなの期待を一身に背負って、知らない人みたいな顔をしてる。
その時の田島にとって、オレは“その他大勢のうちの一人”にすぎないんだって嫌でも思い知らされるから。

「野球をしてる時の田島は、オレのモノじゃない…から。」

ぼろり、ぼろりと口から零れる汚い本音とは反対に、情けない顔だけはせめてと両腕を交差させて覆い隠す。

「バカだなぁ、阿部!こんなにオレの心を独り占めしてんの、阿部だけだぞ?」

田島は今にも泣きそうなオレの手を掴むと、自分の左胸へと導く。

ドクドクと早鐘のような鼓動。
オレと同じ速度で生命を刻む、田島の心臓。

「…本当に?」
「おぅ、当たり前だろ!」

ニッと笑顔を浮かべると、グイと引き寄せられてキスを一つ。
それだけでオレの心はすっかり宥められてしまったのだけど、いつも翻弄されてしまうのが悔しくて、口内に侵入してくる田島の舌に軽く歯を立ててやった。

「…お前はオレの、だからなっ」


ずっと飲み込んできたその言葉。

いつでも眩しい、オレの…オレだけのヒーローに告ぐ。




*END*

______20080326
うぁぁ…あまりに酷い出来だよ…!返品可ですと言うよりむしろ返品してくださいお願いしますorz
はる姉に……捧げ…ます…(死)

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