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リクエスト小説
ここにいるよ(相互リンク記念 こえださま)

オレはよく、うなされている阿部君の声で目を覚ます。
そんな時は決まって、汗で額に張りついた短い黒髪をそっと撫でてあげるんだ。

少しでも悪夢から君を解放できるように―――。



ここにいるよ



こうして阿部君と一つのベッドで寝るようになったのはいつからだったっけ。

そういえば一度、オレが変な期待をして阿部君に迫ったことがあった。そしたら阿部君は怯えたようにオレを拒否しながら、何度も何度もごめんって謝った。阿部君が自分からその真意を語ることはなかったけれど、オレは知ってる。

阿部君の過去――今もそれが君の心に大きな傷を残していること。

だからそれ以来、オレは阿部君を抱きながら…ううん、抱っこしながら眠るんだ。
確かにオレも男だし、身体が欲しくないかと問われればそれは嘘になるけど、でも。
それよりもっと、大事なことがあるよね?

「…阿部 君、」

オレが名前を口にすると、起きているのかいないのか、応えるように手を握り締めてくる。まるで縋りつくようなそれは、オレの心をぎゅっと掴んで離さない。


ねぇ、阿部君。
すっごく大事なんだ。宝物みたい。

深い暗闇からオレを救ってくれたのは、他でもない君だった。
だから今度は、脆くて壊れてしまいそうな君を、オレが守ってあげるね。


そうしてオレはまた、閉じられた君の瞼にキスを落とす。



(同じ夢をみようよ。
その痛みを、はんぶんこしよう?)



この想いが君に届きますように。

そんな願いを込めて…




*END*

______20080321
暗い…。何故こんなことになったんでしょ!?最初のテーマは“守ってあげたい”だったはず…。
こえださまに捧げます!返品はもちろん可ですので!;

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