リクエスト小説
三歩先の貴方へ(相互リンク記念 梶本悠月さま)
二つの年の差が、どうしようもなく憎かった。
いつもオレの二歩も三歩も前にいる貴方に、追いつきたくて、追いつきたくて。
三歩先の貴方へ
「…慎吾さん、アンタ受験生でしょ」
オレは言った。
何故かオレの膝を枕にして寛いでいる二つ上の先輩に向けて。
つーか何でウチにいるんだ、アンタ。
「…そうだけど?」
「勉強しなくていいんスか?」
「してるよ。だから今は隆也といる方が大事」
こういう時の慎吾さんは、まるで甘えん坊な子どもみたい。忙しいくせに暇を見つけてはやって来てオレを構う。そんな慎吾さんに対するオレの態度といえば。
「そんなこと言って、落ちても知りませんよ」
……可愛くないって自分でもわかってるけど、仕方ないだろ?オレは一年、アンタは三年――受験生なんだから。
「あ…そ。じゃあ帰ろっかな」
少し怒ったような、不機嫌そうな顔をして立ち上がると、何の躊躇いもなく慎吾さんはそのまま部屋を出て行ってしまった。
あまりに素っ気ないその態度。自分で言ったこととはいえ、まさかこんなにあっさり帰ってしまうとは思わなかった。…いつもなら笑って否定してくれるのに。
それでも――傍にいて、行かないで、なんて絶対に言わない。
そんな言葉は、オレの心の奥深く。
(…これでいいんだ。)
(負担、かけたくないから)
(寂しくなんかない)
何度も何度も自分に言い聞かせる。
ふと、頬を何かが伝った。
(う そ だ 。)
「慎吾さんっ!!」
思わず叫ぶ。後を追うべく立ち上がり、乱暴にドアを開けて部屋を駆け出す。
まだそんなに遠くへは行ってないはず。
「…遅い」
「へっ…?」
一気に階段を駆け下りようとしたその時、どこからか耳慣れたあの人の声。振り返るとドアのすぐ横、壁に凭れかかってわざとらしく溜息を吐く慎吾さんがいた。
「慎吾…さん!?」
「追ってきてくれなかったらどうしようかと思っただろ」
そう冗談めかして笑う慎吾さんに、訳がわからず首を傾げる。大きくて優しいその指先でオレの目許を拭うと、きつく抱き締めてくれた。
「……ちったぁ素直になれよな」
そう一言呟いて。
(あぁ、そうか。)
慎吾さんがオレに甘えてたんじゃない。…甘えさせてくれていたんだ。
(…やっぱり敵わないなぁ)
貴方に追いつきたくて?
ううん、
追いかけるくらいが丁度いいんだ。
手を伸ばしても簡単には届かない、それがオレと貴方の距離感なんだから。
*END*
______20080304
意味がわからない…。時間かけたくせにグダグダな小説でごめんなさい〜!悠月さんに捧げます…!!(いらない)
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