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リクエスト小説
駅前、20時、君とのデート。(500Hit まるこさま)

「悪い、待った?」
「や、そんなに待ってないスけど…高瀬さん、それ…」

やっとの思いで会う約束を取り付けて、14時に駅前で待ち合わせ。お決まりの台詞を投げかけるオレの背後を指差しながら、阿部は訝しげな顔をしてみせた。



駅前、20時、君とのデート。



阿部の視線を追うようにして振り向いたその先にいたのは、慎吾さんと利央。

「何でこんなとこに…!?」
「もう、準さん!阿部とデートするなら言ってくださいよ!
「抜け駆けなんてセコイぞ、準太」

楽しみにしていたデートに邪魔者二人。後輩のみならまだしも、そのうちの一人は先輩だ。無下に追い返すわけにもいかずに、四人での奇妙なデートが始まった。


***


「ちょっと、慎吾さん!阿部から離れてくださいよ…ってオイ、利央っ!」
「ちょっとくらいいいじゃないスか〜!…で、阿部はさ、…」

図々しくも阿部の両隣りを陣取った二人は、久々に会った彼に「最近どうなの?」とか「オレと付き合わない?」とか質問攻め(?)をしている。そんな二人を引き剥がすことにいっぱいいっぱいだったオレは、苦笑しながら質問に答えている阿部がチラチラとこちらを窺っていることに気付かない。
結局、食事をする時も買い物をする時も二人は阿部の傍から離れず、あっという間に日が落ちてしまった。

「さて、明日も朝練あるし、そろそろ帰るかぁ!」

伸びをしてそう言った慎吾さんに皆の視線が集まる。

その、一瞬だった。

突然阿部はオレの手を取り、その場から逃げ去るように駆け出した。オレたちの背後で慎吾さんと利央が何かを叫んでいたけれど、そんなことはもう関係がなかった。突然の出来事に未だ思考がついていかず、腕を引かれたままただただ走る。漸く阿部が立ち止まったのは、最初に待ち合わせた駅前だった。

「阿部…?どうして…」
「オレは…四人で遊ぶために来たんじゃないです!もっと、高瀬さんと…!」

息を弾ませ、言葉を詰まらせながらオレの問いに答える阿部は、少しだけ照れているみたいだ。
普段の阿部からは考えられない行動、態度。そんな彼が見せてくれた表情に、オレは彼の手を強く強く握り締めた。

「…ごめん…」

何だか自分が情けなくなって小さく呟くと、

「デート、もう一回やり直してもらいますからね」

なんて口を尖らせながら阿部が言う。
愛しい彼からの思ってもみなかった申し出に、オレは大きく頷いた。



待ち合わせは駅前に14時。
現在時刻は20時。

ま、いいか。
6時間遅れのオレたちのデートは、これから。




*END*

______20071118
準→阿かと思いきや、ちゃんと準阿でした…なオチ。準さんがヘタレでごめんなさい…。これじゃあ争奪戦じゃないですね;しかも和さんいないし!もはやリクエスト小説とは言えない気が。すみません。
まるこ様、リクエストありがとうございました!

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