<ソディアから> フレンとの時間を過ごし、宿舎まで送ってもらい部屋に入る。 鍵が開いていたのでソディアはもう帰っているのだろう、ただいまと言う。 でも、返事は返ってこない。 「ソディア?いないの?」 お風呂もトイレも見たけど居ない。施錠し忘れたのかと考えて誰も入ってないか部屋を見回しても荒らされている気配はなかった。 私は食べさせてもらったけど、ソディアは食べたのだろうか。心配になり何か作っておこうとしてキッチンに行くもこんな日に限って材料切れ。 そうだった、今日買って帰ろうと思ったのを忘れてた。 今からでも間に合うだろうかと財布を持って部屋を出ようと扉を開けた瞬間、入ってきたソディアにぶつかる。 「わっ」 「うわっ」 どちらともつかない悲鳴が交じり合う。 「そ、ソディア…びっくりした」 「すまない…何処か行くのか?」 それから食材を買いにいくと言えば首を横に振られ夕飯は食べたと言った。明日の朝ご飯分くらいあるからなんとかなるだろうかと思い出ることをやめた。 するとソディアに名前を呼ばれる。 「Name」 「なあに」 「チョコレート、美味しかった」 そう言われて差し出された箱とソディアを交互に見た。 「え、どうしたの?」 「"ホワイトデー"」 隊長よりもいいものではないけど、と少しの苦笑い。箱はそれ程大きくもなく片手で持てる。 しっかりソディアに視線を合わせ、もらってもいいのかと聞くと頷いてくれた。 「ありがとう!あけていいー?」 「ああ」 かけられた包装紙を破らないようにぺりぺりと剥いだら、中から出てきたのは小さなプレートのついたネックレス。 そこには私の名前が掘られており、花の模様があしらわれていた。 三人おそろいの指輪は大抵指にしているので首が開いている、そのことを知るソディアからの贈り物。 裏面を見ると目立たない程小さく端っこにソディアの名前があった。多分ソディアがくれたということの主張。 「その、それを取りに行っていたから迎えに行けなかったんだ」 照れたように言うソディアが可愛くてつい抱きついてしまった。 「返すのは"思い"って言ったじゃん」 「それが私からの"感謝の思い"。いらないか?」 「…っ…いる!絶対返さないからね!もう私のだからね!」 「はいはい」 頭を撫でてくれる手が優しくて鼻水がぐずぐずいって涙が出てくる。ぎゅーっと抱きつく力を強めれば苦しいと文句を言われた。 先程鍵を開けっ放しだったのはこれができる予定時間が遅く、フレンに連れられた私が帰ってくるであろう時間だったので慌てて出ていったんだとか。 何にするかずーっと悩んだ挙げ句先程このネームプレート決めてそれから無理を言って今日中に作ってもらったと。 嬉しくて泣いていた私は「迷子札にもなるし」というソディアの言葉を聞いて彼女に鉄拳を食らわせたのは記憶に新しい。 それからプレゼントで悩んで店をうろうろとしていて本当はご飯を食べてないというソディアのために一緒に食材を買いにいったのはまたそのあとの話し。 20101004発見 編集 [*←][→#] [戻る] |