00≫≫2nd SEASON
今の精一杯で僕は。
(アレルヤ+ティエリア)
アリオスを動かせなくなっていた。
キュリオスと変わらぬ調整をしたと言う。
僕の生死も解らないのに、僕が生きていると信じてロールアウト後にティエリアがそうしたんだとイアンさんに聞かされた。
だから僕は、どうしてもハレルヤが居なくなった事を言い出せなかったんだ。
でも、アリオスの機動力についていけてない僕を見て、すぐにティエリアは気が付いてしまった。
ティエリアは、ガンダムを降りて真っ先に僕の元に来た。
「ハレルヤは?」
僕の顔を覗き込むティエリアの言葉に、僕は言葉を濁す。
「………」
一度アリオスに乗っただけで気付かれてしまうなんて。
隠し切れない事も解っていたのに。
「アレルヤ?」
不安そうな顔。
ごめん、ティエリア。
君に知られたく無かったんだ。
「もう、居ないんだ」
「え…?」
あの頃と何も変わらない細身の体が僕に寄り添う。
その体を抱き留めながら、僕は告げた。
「ごめん…ハレルヤを、守れなかった」
深い赤の瞳は、まるで信じられないとばかりに大きく見開いた。
「………」
ティエリアは僕の前髪を酷く優しい手つきて退けて、右目を見詰めた。
まるで、この金の目の中にハレルヤを探す様に。
そして呼び掛ける様に呟く。
「ハレルヤ…?」
間近の鮮やかな赤が、みるみる濡れていく。
「…ごめん」
堪らず、ティエリアを抱き締めた。
「仲間を亡くすのは、もうたくさんだ…!」
鳴咽混じりのティエリアの叫びが、とても痛かった。
「ごめん…」
ティエリアの温かな涙の粒が無重力の中を漂った。
僕はただ謝った。
ハレルヤを逝かせてしまった事、ティエリアを泣かせてしまった事、期待に応えられない事―――…全てがぐちゃぐちゃになって、ただひたすらに謝る事しか出来ない。
ふと、ティエリアの腕が、僕の背中に回った。
「アレルヤは何処にもいくな…っ」
しがみつく様に僕のパイロットスーツを握り締める手は震えている。
「ティエリア…」
あのティエリアが、人が死ぬ事に怯えているだなんて…。
それを教えた彼すら、もうティエリアの側に居ない。
ハレルヤ、君は笑うかい?
それでも僕は、優しさに堕ちてしまったティエリアを愛おしいとすら思うんだ。
………君を失って泣いてくれる存在を、大切だと思うんだ。
「約束する…僕は何処にも逝かない。だから、泣かないで?」
涙で溶けてしまいそうな目を覗き込みながら、僕は今出来る精一杯でティエリアに微笑んだ。
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