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00≫≫2nd SEASON
『ハロを貸して』と言われた日。
(ライル+ティエリア)



「俺、鏡って嫌いなんだよな」

コンソールの上で滑らかに手を動かすティエリアを後ろから見ながら俺は話し掛ける。

「意外だ。君は四六時中鏡を見ているタイプの人間かと思っていた」

手を動かすスピードは少しも変えず、ちゃんと俺の話しを聞いて嫌味で応えるそのティエリアの頭脳に俺は素直に感心した。

「そりゃ、あんたほどの美人ならそうするさ」

純粋な褒め言葉を含ませた俺の軽口に、ティエリアは『それはどうも』と返してきた。

どうも最近はティエリアをからかっても流されるか無視される事が多い。

慣れとは恐ろしいものだ、と『茶化さないでほしい!』と憤慨していた頃を懐かしみながら思う。

「…それで、何故鏡が嫌いなんだ?」

ティエリアはふと手を止めると、全くこっちを見ずにその手を差し出した。

『ハロを寄越せ』の合図だ。

忙しなく動いていた手を止めたのはそれがメインで、俺との会話はついで。

アレルヤに言わせれば『ティエリアが会話をするだけ凄い』らしいが、それを嬉々として伝えてくるアレルヤに俺はいっそ憐れみを覚える。

どんだけ虐げられてきたんだ。

普通はこういう態度で会話されたら、怒って会話を止めるか気を引いてやろうと躍起になるかだ。

そして俺はティエリアに対して後者を選ぶ。

手元で弄っていたハロを渡しながら、次の一手で確実にティエリアの意識を俺に向ける事が出来るだろうとほくそ笑んだ。

「決まってるだろ。同じ顔の奴を思い出すからだよ」

するとようやく、そして思った通りティエリアはこっちを振り返った。

兄さんの話題になると反応が顕著だ。

ティエリアの手から離れたハロがふよふよと自分の位置を探すのを視界の端に留めながら、上手くティエリアの気を引く事が出来た俺は、笑って『殴りたくなるんだよ』と告げた。

それを聞いたティエリアは、眼鏡の向こうの瞳を残念そうに細めて俺を見詰めた。

いや、正しくは俺の頬だ。

「………だからといって、鏡を見ずに髭を剃るのは無謀だと思わないか」

「だよなー…」

今朝、カミソリで派手にやらかしてしまった頬に貼った絆創膏を撫でながら、俺はため息を零した。

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あきゅろす。
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