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00≫≫PARALLEL
学園メランコリア
〜a school library〜



―――ああ、遅くなった。


ティエリアはパタパタと廊下を急いだ。
途中、理科教師のカタギリに『走らないように』と軽く注意され少し速度を落としたが、逸る気持ちは抑え切れずすぐに足は駆け出す。

目的は図書室。
図書委員のティエリアは今日はカウンター業務の当番の日で、本の貸出・返却を行わなくてはならない。

もちろん、それだけの事でこんなにも気持ちが逸る訳は無いのだが…。

図書室の扉の前で深呼吸を一つ。
息を整えてから扉を開けようとした瞬間、中からロックオンの声とそれに重なる甲高い複数の笑い声がして、思わず上げた手を止めた。

ティエリアは、眉をひそめ、一気に扉に手を掛けた。
開かれた扉の中で、ロックオンはカウンターの中に座り、三人の女生徒を相手に楽しそうに会話をしていた。
そして軽くティエリアに視線を遣ると、手にした本をトントンとわざと音を立てて整えた。

「ほら、お前ら。用が済んだならさっさと帰れよ」

「はーい」

ロックオンが上手く会話を止めて言うのに、三人は素直に従って手に荷物を持ってティエリアの横を通り過ぎる。

「アーデ、これ返却された本だ」

ティエリアと彼女達が擦れ違う瞬間、ロックオンはティエリアに手にしていた本を三冊渡した。

彼女達から返却されたのだろうか?
ティエリアは奪う様にそれを受け取ると本の背表紙を一瞥し、図書室内に列ぶ本棚の間を擦り抜けた。

「遅かったな」

「掃除当番だったんです」

思わず素っ気なく返す。

最奥の本棚に辿り着くと、手を伸ばして本を仕舞う。

最上段に入れようとして少し踵を浮かせ腕を伸ばすと、後ろからするり、とティエリアの手から本が抜き取られた。

ティエリアが振り向くと、ロックオンは背後からティエリアの顔を覗き込んでいて、思わずティエリアは頬を朱く染めた。

「…さっき、妬いてただろ?」

「何、言ってるんですか…」

ストン…と、ロックオンは本を棚に戻し、そのまま本棚に手を着いてティエリアの体を本棚と自分の間に閉じ込めた。

「俺があいつらと話してたから…睨んでたぞ?」

「気のせいです…どいて下さい、ストラトス先生…」

「ロックオン、て呼べよ…ティエリア」

耳に息を吹き込む様に囁いてロックオンはティエリアに体を密着させる。

「…っ、駄目です…!誰か来たら…」

「ここは入口からは死角になってるし、誰かが来たら扉の音ですぐに解るさ」

「そういう問題じゃ…」

ティエリアが眉根を寄せて顔を上げると、ロックオンはニヤリと唇の端を上げた。

「お前が一番だよ、ティエリア」

甘く吹き込まれる声に一瞬動きの止まったティエリアの隙を付いてロックオンは唇を寄せる。

「…ん…っ」

『嘘つき』―――そう悪態を付こうとして、その言葉はロックオンの唇に飲み込まれ、ティエリアの腕の中にあった二冊の本が足元に落ちた―――…

唇を離して、ロックオンはティエリアの赤い瞳を覗き込む。

「本当に、ダメ?」

「…駄目、です…」

「残念」

頑固だな、とロックオンは苦笑してティエリアの体を開放した。

上半身を屈めて落ちた本を拾うとティエリアの手の中に戻して、ロックオンは『続きは帰ったらな』とティエリアの頬に悪戯にキスを残して、図書室を後にした。




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【a school library】=【図書室】

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あきゅろす。
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