00≫≫PARALLEL
学園メランコリア
〜during school hours〜
「じゃあ、32ページの頭から。誰に読んでもらおうかな…」
本日最後の授業は国語…現代文。
担当の教師はこの学校でも人気のある、ロックオン・ストラトス。
手足が長くスマートな体型に高い身長、甘いマスク。
見た目に反して文系で、見た目通り女ったらし。
そんな彼に笑顔で指名された女生徒は、僅かに喜びを滲ませた良く通る声で流暢に文章を読み進めていく。
ティエリアは彼女の声に合わせて開いた教科書の文字を追った。
ああ―――本当に彼女は上手に読む。
読み終わったら、きっと先生は彼女を褒めるのだろう。
あの笑顔で。
彼女はその笑顔を見て胸をときめかせるに違いない。
静かな教室の中に響く彼女の声と、教科書片手に席の間をゆっくりとした速度で歩くロックオンの足音が重なるのに、ティエリアはまるでそれを邪魔するかの様に右手に握るシャープペンシルをカチカチ鳴らした。
ロックオンが、もうすぐティエリアの横を通り過ぎる。
気に入らないから無視してやろうと頬杖をついた時、通り過ぎるロックオンの綺麗な長い指がティエリアの机の端を、誰にも知られない様に軽くトントンと叩いた。
ティエリアが思わず見上げればロックオンの碧い瞳と視線が合い、ロックオンはティエリアだけに微笑みを向ける。
「………っ!!」
途端、頬が熱くなった。
そんなティエリアを置いて、ロックオンは後ろの席で居眠りをしている生徒の頭を持っていた教科書で軽く叩いた。
不意に鳴り響いた終業を告げるチャイムの音と共に教室内が慌ただしくなり、うやむやの内に女生徒の朗読は終わり、一度教壇に戻ったロックオンはティエリアを気にするそぶりも見せず、授業の終わりを告げた。
「じゃあ、次は今読んで貰った所から問題出すからな。ちゃんと予習しとけよ」
そう告げるとさっさと教室から出ていってしまう。
ロックオンの、馬鹿―――。
誰にも知られてはいけない秘密の関係。
赤くほてった顔を冷ます様に両手で覆いながら、早くホームルームが終わらないかとティエリアは窓の外の青空を眺めた。
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【during school hours】=【授業中】
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