OTHERS
イロゴト
学園ヘヴン(丹羽×西園寺)
お気に入りの東屋。
静かで、四季折々の姿を見せてくれる自然に溢れたその一角。
ベンチに座ってうとうととまどろみに身を任せていると、ふわりと温かいものが私の体を包んだ。
薄く目を開けると、見慣れた制服の赤のジャケットが掛けられていた。
「風邪ひくぜ?」
白いシャツ一枚の丹羽が馴れ馴れしく横に座るでもなく、いつかの様に至近距離で顔を覗き込むでもなく、ただ傍らに立ち優しそうな笑顔を見せるのに、私は文句の一つも出て来なかった。
―――何かが違う。
例えばそれは、丹羽の普段は見せないそんな態度であったり、眠気のせいか全く働かない私の頭であったり。
不意に丹羽の手が髪に触れ、顎のラインを辿って、うっとりする様な甘い口付けが降りてきた。
普段はあんなに乱暴で粗野な男なのに。
ずいぶん慣れたそれに目を閉じて夢中になりながら、慣れているのか…と少しがっかりもした。
「じゃあな、郁ちゃん」
唇が離れ、ジャケットを肩に振り返った丹羽の顔は見慣れた腹の立つ表情で『可愛い寝顔だったぜ』と、いつも通りに私をからかった。
………ズルイ男だ。
遠ざかる広い背中を睨み、未だ甘い感覚を残す唇を手の甲で乱暴に拭った。
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王様はもっと恋愛にはヘタレですよね?(撃沈)
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