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00≫≫1st SEASON
It might be love.



右目を失ってから、俺の左隣りはティエリアの定位置になった。

眼帯を見る度に泣きそうな顔をしながら、それでも俺の側を離れないのは贖罪の為か。

俺としては、どんな理由でもティエリアが側に居たいと言うならそれは構わない。

鬱陶しいなんて露ほども感じないし、むしろ可愛いとさえ思える。
いっそハロのように小脇に抱えて連れて歩いてしまいたいくらいだ。

だが泣きそうな顔をまさか正面きって見られる訳もなく、俺は仕方なくティエリアからはあまり眼帯が見えない右側を選ぶ。

実の所、俺はティエリアの正面に居るのが好きだ。

端正な顔はもちろん、柔らかそうな頬をさらさらと流れる髪も、何より宝石のような赤い目が光りを受けてキラキラと輝いているのを見るのも好きだ。

だから俺はティエリアの正面が良い。

ちらりと左目で隣に居るティエリアを見ると、俯いた顔の半分が前髪で隠れてしまっている。
例え目が合ったとしても、すぐに逸らされてしまうのだ。


ああ、しばらくティエリアの瞳を見てない。

どうしたらまたあの真っ直ぐな視線を俺に向けてくれるのだろうか。


コツン、と左手に当たったティエリアの右手を俺は咄嗟に捕まえた。

驚いて引っ込めようとするのを、それ以上の力で握る。

「ティエリア、俺の顔を見られない?」

手を握りながら問うと『そんな事はない』と気丈な台詞が返ってきたが、握った手はやはり微かに震えていた。

「ティエリア」

「………」

「ティエちゃん」

「………」

―――弱ったな。

やっぱりこっちを向いてはくれない。


なあ、お前の瞳が見たいんだ。
俺を真っ直ぐに見据える、その赤い目が好きなんだ。


見たい、見たいと渇望していた俺は、気が付けば顔ごとティエリアに近付け、そしてそのまま唇を重ねていた。

驚きに見開かれたティエリアの目は真っ直ぐに俺を見ていて、『ああ、やっと見れた』なんて触れているだけの唇を喜びに歪めた。

ティエリアの唇が震えて見惚れていた瞳をギュッと閉じた瞬間、ぐいっ、と体ごと押しやられ、ティエリアの唇が離された。

「…っ、どうして!どうして貴方は私に優しくするんですか!どうして私のせいだと責めてくれないんだ!」

どうして、どうして、酷い、酷い…と繰り返すティエリアの肩を抱き寄せた。


酷くなんかないさ。
責めてなんかやるもんか。

俺は自分のやった事に後悔は無いし、ティエリアを責める気なんて毛頭無い。

しょうがないだろう。
失いたくなかったんだから。

俺はティエリアの綺麗な顔も、赤い瞳も好きなんだ。


…―――好きなんだ。

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