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00≫≫1st SEASON
『ニイサン』



明日から実際にデュナメスに乗ってテストを行うと、さっきミス・スメラギに伝えられた。

射撃の腕には自信があるが、モビルスーツには乗った事が無い。

未だにこの巨大な人型の兵器が俺の手足になるというのに実感が湧かない。

「ロックオン・ストラトス」

デュナメスを見上げていると、不意に声を掛けられた。
振り返ると、そこにはティエリアがいた。

相変わらず目も醒めるような美人。

美人は三日で飽きるとかいうらしいが、ソレスタルビーイングに入ってしばらく経った今も、この美人には飽きる事が無い。

見惚れていると、そんな俺の不躾な視線にも気にする様子も無く、ティエリアは腕の中のオレンジ…確かハロって言ったっけ?…それを俺に向かって放った。

「何?」

フワリ、と半重力を舞うそれを捕まえてティエリアを見る。

「貴方のです」

「俺の?」

「デュナメスは精密射撃を必要とします。そのハロはその際の機体の制御をサポートします」

『ヨロシク!ヨロシク!』

耳をパタパタしながら、オレンジのハロは手から抜け出して俺の回りを自由に跳ねた。

「つまり…俺の相棒って事か?」

動き回るハロを目で追いながら聞けば、ティエリアはさして興味も無さそうに腕を組んで言った。

「そうですね。そのハロは他のハロ達のオリジナルになります」

もう一度ハロを捕まえて、俺の目線まで持ち上げる。

「へぇ…よろしくな、ハロ。ロックオンだ」

『ロックオン!ロックオン!』

ハロは目をチカチカと光らせて、俺の名前を繰り返す。


なかなか可愛いじゃないか。


「こいつ、俺が持ってても良いんだよな?」

「どうぞ。ご自由に」

用は済んだとばかりに背を向けて去っていくティエリアを見送って、俺はハロを小脇に抱えて部屋に向かった―――。




―――ガンダムの操縦にも慣れた頃、ヴァーチェの整備をハロと共に行っていたティエリアは、ノーマルスーツの胸元を寛げながら苦々しい表情で俺の側に降り立つ。

「…最近ハロ達がうるさい」

貴方が言葉を教えたんでしょう?と、睨むティエリアに俺は『さぁな』ととぼけて見せた。

目の前ではヴァーチェの整備が終わってカレルから降りたハロ達が、『ニイサン、ニイサン』と覚えたばかりの単語を発しながら俺の相棒を追い掛けて遊び始める。

「何ですか?あの『兄さん』って」

戯れに俺が弟と妹に呼ばれてた『兄さん』という言葉を教えたら、あっという間に覚えた。


…秘匿義務だから言えないか。


「まぁ、あれだ。兄弟だろ?あのハロ達は」

「下らない…」

飽きもせず追い掛けっこを続けるハロ達を見ながら、俺とライルとエイミーを重ねようとして………やめた。

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