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00≫≫1st SEASON
I HAVE CONTROL. 2



「ロックオン・ストラトス!!」

ティエリアはシートの後ろから、ロックオンの正面に回り込み安否を確認する。

外傷は無い様だが、ヘルメットが無かったせいで頭を強かに打ち付けたのか意識が無い。

『敵機接近!敵機接近!』

こうしている間にユニオンのモビルスーツは距離を詰め、ハロが危険を報せる。

「回避を続けろ!!」

『了解!』

ティエリアが命令を下すと、すんでの所でデュナメスは攻撃をかわした。

ティエリアはロックオンの頭を抱え込む様にして、機体が大きく揺れる衝撃から彼を守る。

ハロに動きを制御されたデュナメスは、その後に来る攻撃もギリギリの所で、しかし確実に回避ポイントを見つけ出し避け続けた。


回避だけならハロだけで何とかなる。
しかし回避だけでこの場を離脱出来るのか…?

答えは否。

例え雑魚とはいえ、五機のモビルスーツを相手にこの場から離脱するには、最低でも敵を牽制しうる行動が必要。
ハロの行う回避運動だけではそれは叶わない。


ならば………!


「デュナメスのバイオメトリクス認証を解除する」

バイオメトリクス認証を解除すれば、ロックオン・ストラトス以外でもデュナメスの操縦が可能になる。

セキュリティとして構築されているものを解除するのは、いくらティエリアでも容易ではない。

だが、迷っている暇は無い。

ティエリアは眼鏡を投げ捨てると、ヴェーダへの直接リンクを開始した。

ティエリアの瞳が金色に輝く。


早く…早く!


ロックオンを抱き締める手に力が篭った―――。

『デュナメス、バイオメトリクス認証システム解除!』

ハロのバイオメトリクス認証の解除を告げる音声と共に、ティエリアはデュナメスの操縦桿をぐっと握った。

「…アイ・ハブ・コントロール」

操縦者が替わった事を告げ、ビームピストルを接近するユニオンフラッグに向けた。

「狙い撃つ…!」

赤いビームが、まるで実弾を弾くかのような感覚を伴って敵の機体に叩き込まれる。

『敵機撃墜!敵機撃墜!』

煙を上げて墜落する機体を横目に、残る四機との距離を十分と見たティエリアは、十六基のミサイルを全弾発射した。

『ハズシタ!ハズシタ!』

一気に放出されるGN粒子のせいで敵の様子は解らなかったが、ハロが小憎たらしく言うのにはミサイルは外したらしい。

「関係無い!離脱するぞ!」

元より、当てる事が目的では無い。
離脱が優先だ。

ティエリアの駆るデュナメスは、緑のGN粒子を撒き散らしながら瞬く間に戦線を離脱した。




「…ハロ、敵機は?」

『イナイ、イナイ』

ハロの暢気な音声に、ようやくティエリアは操縦桿から手を離した。

背を預けていたロックオンを振り返り、そのパイロットスーツの胸元を寛げて首筋に手の平を差し込む。

指先に感じる首の動脈からの規則正しい鼓動に、ティエリアはほっと胸を撫で下ろした。

「…良かった…」

背後でハロの目がチカチカと点滅するのを、ティエリアは気付かないでいた。




「ティエリア、ありがとな」

目的地に着いた後、意識を取り戻してすっかり元気になった様子のロックオンは、ヴァーチェに乗り込む直前のティエリアに声を掛けた。

ティエリアは真っ直ぐな紫紺の髪を揺らして、ロックオンから視線を外す。

「…デュナメスを守る為です。貴方の為じゃない」

ツン、と澄ました様子でそのままヴァーチェに乗り込んだ。

「素直じゃねぇの…本当、可愛い奴」

『ティエリア、カワイイ!』

ロックオンは、AIにしては随分と人間くさい相棒にウィンクして見せた。

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あきゅろす。
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