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00≫≫1st SEASON
たゆたう



ロックオンが手袋を外すのが合図。

おいで、と両手を広げるロックオンの胸の中に吸い込まれる様に収まれば、長い指が髪を梳く。

「ティエリアの髪は気持ち良いな」

真っ直ぐで、サラサラで、冷たくて…と繰り返される鼓膜に響くロックオンの賛辞は子守唄かもしれない。


―――髪を撫でられると、眠くなる。


そんな癖が自分にあるなんて、ロックオンにこうされるまで知らなかったし、知る事も無かっただろう。

触れられる心地良さに、ウトウトし始めた俺にロックオンは優しい声で囁く。

「寝ても良いぞ」

「誰が………」

貴方の前で寝たら何されるか解ったものじゃない。
そう言えば『それは残念』と茶化した。
それでも俺の髪を撫でる手は止まる事は無く、確実に俺は眠りの世界へ誘われてしまう。

眠気を散らす為に目の前で揺れるロックオンの襟足の髪を一房摘み上げて歯を立てた。
シャリ、と音を立てて髪が歯を擦り抜ける。
何本かはそのまま噛めたので、キリキリと噛み締めたらプツリと髪は途中で切れた。

「…何してんだ?」

ロックオンは奇妙な俺の行動にも怒らず、クスクス笑いながら俺の舌の上で邪魔な髪を摘み上げてスルリと引き抜く。

「髪には触覚があるのかと思ったんです」

だから撫でられれば気持ち良いし、噛んだら痛いんじゃないか、と。

ロックオンは片方の眉を僅かに上げ、お返しとばかりに俺の前髪を直接唇で柔らかく食む。

途端、ぞくぞくする感覚に襲われた。

「どう?」

唇を離したロックオンに目を覗き込まれた俺は、これは勝てないと知り溜め息を一つ零す。

「…感じます」

「じゃあ、俺の髪も優しくしてくれよな?」

手を取られて、そのままロックオンの髪に持っていかれた。

茶色の癖の強い髪は意外に柔らかく、しっとりと指に絡んだ。
絡まって引っ掛かる場所はゆっくりと解しながら、撫でる様に弄る。

「お前に髪を撫でられると気持ち良いな」

「じゃあ、俺もきっと貴方だから安心して眠くなるんだ」

俺がそう返すと、ロックオンは一瞬驚いた表情をして、すぐに『参った』と苦笑した。




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黒猫様にリクエストを頂いた『髪の毛いじくり合うロクティエ』です。
リクエストありがとうございました!

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あきゅろす。
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