00≫≫1st SEASON
ちょっとした悪戯心
俺は地上からヴェーダへの報告書を書いていた。
報告書、といってもそんなに畏まったものではない。
何せあの刹那でも書いてるくらいだ。
例えば、今日は体調が悪かったからミッションコンプリートまでに時間が掛かったけど許してネ☆とか、あのミッション、一歩間違うとマジ死ぬけど!とか。
そんなノリでも意外にも寛容なヴェーダは、あの情報処理能力で必要な情報を蓄積していき、どんな苦情を申し立てても文句は言わない。
ま、その後は良くお出来になる息子さん(娘さん?)から鉄拳制裁を頂く訳だから、それなりにまともには書くけど。
それに、何気に次のミッションでは苦情の部分は修正されていたりする。
いや、まったくもって素晴らしい。
今回も適当に書いて後はヴェーダへ送信―――Enterキーを押そうとした俺は、それをやめて最後に一文付け足す。
―――今回のミッションとは別件でヴェーダに問う。
貴方の申し子、ティエリア・アーデを一個人として愛してる。
ヴェーダはそれを許可するか?
なーんてな。
それを一度読み返して満足した俺は送信。
どうせ戦闘に関係の無いもんは破棄されるんだろうが、何か返事でもありゃ儲けもん。
「メール、チャクシン!メール、チャクシン!」
そう思った所でハロがけたたましく告げる。
「え?」
デュナメスにメールが入る何て、んなアホな!
こんな事ヴェーダ以外に考えられない。
慌ててモニターに映すと、何とも簡潔な文字。
『I admit it.』
え、マジ?
許可するって、何これ。
こいつそんな意思の疎通出来るの?
返信早いし。
さすがオーバーテクノロジーの塊。
ひとしきり感心していると、今度は通信が入る。
『ロックオン・ストラトス!!ヴェーダに何を尋ねているんだ!!』
あ、バレた。
こっちも反応が早い。
まったく良く出来た息子さん(娘さん?)で。
「まぁまぁ、ヴェーダは良いってよ。これで親公認の仲だな」
綺麗な顔は怒りからか、それとも別の理由からか耳まで真っ赤。
『うるさい!万死に値する!!』
地上と宇宙、遠く離れてるから鉄拳制裁は免除。
その代わり可愛がってやる事も出来ないが。
宇宙に帰るのが、待ち遠しい。
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