00≫≫1st SEASON
killing time
「なぁ、ティエリア。キスしよう」
暇を持て余していたのか、オレンジの球体を投げて無邪気に遊んでいたロックオンは、突然それを放り投げると俺に擦り寄った。
「理由は?」
あっちで『アアアア…』と耳障りな音で転がる丸はとりあえず無視して、こっちで俺の顎を持ち上げる目障りな大人を何とかするのが先決の様だ。
「キスがしたくなった」
大人なんだろうか、コイツは。
「他の方に頼んではいかがですか?」
例えば貴方の大好きな年上の女性なら―――酔った勢いで濃厚なキスの一つや二つ、してくれるかもしれない。
「…いや、ティエリアが良い」
「何故?」
「ティエリアとのキスが、一番気持ち良さそうだから」
とんだ誘い文句だ。
ご丁寧にもそれを耳元で囁くなんて、随分慣れていらっしゃるご様子。
「気持ち良い?あんなもの、誰としても変わらないでしょう?」
ただの肌と肌の接触だ。
そこから快感が生まれるとしても、この男が言う様に特定の相手で変わる筈も無い。
「そうでも無いぜ?だから、試してみよう…な?」
返事をする前に唇が重ねられ、それなら聞くなと思う。
「ん………」
肌と肌の接触―――それが粘膜と粘膜の接触に変わって、体液の交換。
薄く目を開けると、碧い目と至近距離でぶつかった。
妙に腹が立ったのでそのまま睨み続けてやったら、視線が合ったままじゃどうにもキスに集中出来ないのを悟ったのか、ロックオンは諦めて目を閉じた。
それを確認して、俺も目を閉じた…ついでに、ロックオンの首に腕を回して引き寄せる。
たっぷりと味わった後、派手なリップノイズを立てながら唇が離れた。
「………すっげー満足。ティエリアは?どう?」
熱い息が濡れた唇を撫でた。
「…悪くない」
―――暇つぶしには、最高。
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