Novel 勇♀×ピサロ中心
夕華
あっーー!
後ろを振り返る間もなかった。
とどめをさしたかと思ったかに見えた魔物は、くすぶった炎に引火し、勝利に酔っていた、あたしの真後ろで爆発したのだった。 ーーと、目を覚ました今、アリーナに聞いたのが、今回のあたしの火傷の原因、なのだそうだ。
「ーそれであいつ、火の中に飛び込んでリアを助けたって訳。 」
「そう…なんだ。」
あたしは包帯で巻かれた手首に目を落とした。
「ー早かったよ、実際。しかも、火が上がる瞬間には、あいつの姿、なかった。舌打ちだけ、響いたんだ」
悔しそうに拳を作るアリーナ。素早さは世界一を自負してるんだから、 相当悔しかったんだと思う。
「まぁ、速いとかじゃなくて。
予知、とか、気配とか、そういうんだと思うけど」
フォローするように部屋に入ってきたのは、何やら膳を携えたマーニャだ。
さすがは女性陣の中で一番年長(と言うと怒る)な彼女らしい。
「慰めなんていらない!」
ぷいと横を向くアリーナに、膳を持っていないほうの指で、アリーナの鼻を小突く。
「慰めじゃないわ。事実でしょ。冷静さも戦法の一つ、と思うケド。お姫様。闇雲に突っ込むだけが戦いじゃない」
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