Novel 勇♀×ピサロ中心
※横恋慕
「貪欲なのはあなたの方じゃない?」
あたしはあんたほどには強欲でもないと思うけどーーー
ここは黙っていて欲しいー…、と、ピサロは白雪を思わせる肌を背中から首筋にそって撫でた。
彼女は応えるかのようにぴくりと体を震わした。
そのまま繋げた腕を指先に。その何本もの指を口に含む。
「毒が出るよ」
くつくつと笑う押し殺した声は彼の直伝。
「いや」
己の手首を使い、咎めると、自ずとその近くにあるのは男の顔。
どんな事も受け入れない冷たい眼差しに、熱く、甘い怒りが膨れる。それをものともせず、両手首を掴まれ、見つめられると、目を逸らさずにはいられないのだ。
「(くるしい)」
お願い、楽にして。
彼女の心の声は声に出さずとも次の瞬間には叶えられていた。
もう決して何も考えられない程に。
乾いてしまうほどに。
ああだからあの蜜はあんなに甘いのかな。
甘いほどに乾く あの人のさえずる蜜。
かなわないからこそ渇望するほど甘いって事をあたしは知る。
知ったからには二度と口にしたくない、甘い毒。
それは、中毒なのかも知れない。
畜生。禁断の果実をかじったあたしの罪って訳だな。
やはりあたしの方が貪欲なのかも知れない。
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