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Novel 勇♀×ピサロ中心
彼方

大嫌いだった。


あたしは憎しみだけで、見えもしない影さえも、あいつを追いかけていた。

父さん、母さん、村のみんな。そしてあたしの姉みたいな存在だった…シンシア。









あの日あたしは一人、みんなが寝静まった深夜にそっと起き出した。


満天の宵闇を見ながら、浅く息を吐き出す。


ーあたし。あたしは本当は嫌だった。あいつが仲間になるなんて、あたしのーー敵なのに。仇なのに。でも、あたし達が助けたロザリーのー、顔を見たらもう何も言えなかったから。





「熱心な事だ」

夢中になっていたからか、それともあいつがが気配を消していたからなのか、剣を振るうあたしの背中の向こうから声がした。

はっとして振り返ると、暗闇に溶けて薄い浮かび上がる人影。

あたしにそんな仲間はいない。そんな風に姿を表すような奴は。

「何の用」

あたしは視線を戻し、もう一振り振るった。


「私には夜の方が善いのだ」


「なぁんだ。ただの散歩。あたしはてっきりあんたがあたしの背中を斬りつけにきたのかと思った」

「お主は斬れぬ」


できないのか、しようとしないのか、どちらの意味か解らなかったけど、あたしは黙っていた。そんなのどちらでもいい。今はあたしの方が強い。


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あきゅろす。
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