誕生 「……っ」 ロザリーがピサロに何か言おうとしたその時、突然階下から声が聞こえた。 「恐れ入ります!ピサロ様!!」 ピサロはつかつかと出窓に近寄った。 「何事だ、騒々しい。声を控えよ。」 「はっ…申し訳ありません、ですが…」 「申してみよ」 「はっ……、かねてより命を受けておりました、かの村が見つかったので御座います…!」 ピサロは腕を伸ばした。 「承知した。案内せよ」 「はっ…!」 「ピサロ…さま…」 ピサロは、ゆっくりとロザリーに近寄り、その華奢な体を抱き締めた。 「暫く留守にするがよいな」 ふんわりと輝く金の絹糸の髪をひと撫でし、ぼうと立ったままのロザリーを置いて、ピサロは扉の向こうに消えた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |