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三日月が満月に満ちる頃には、部屋を飾る手製の品々が幾つか完成していて、以前よりかは華々しい一室になっていた。


ただ黙々と手を動かして、一点の事に集中していれば、多少なりとも、現は忘れていられる。



ふと手を休めると、そこに置いたままの感情がするりと入り込んでくるのは否めなかったのは仕方ない事だが、それは溜め息一つでやり過ごし、また手を動かす事で置いておく。


その繰り返し。



時には身の回りをし、ゆっくりとした過ぎゆく日々。



そんな日々をやり過ごしながら、溜め息一つの間に、身の回りの事をする間に、様々な事の中の一つの、滅びし國の事と同じくらい、いやそれ以上思い出すのはーー。











軽いノックの後、返答と同時くらいに扉は開けられた。



その時、ロザリーは縫い物の手を動かしており、ノックされた事でぴたりと止まり、軽くびくりと震えた。



「良い子にしていたか?ロザリー」


深く隠していたフードを取り、長い銀髪をさらりと後ろに流れる様を見ながら、ロザリーは頷いた。


「今日は褒美を持って参ったぞ」




男性にしては華奢な長い爪の先を、ついと動かすと、色とりどりの花々が、芳しき香りと共に部屋の一角に溢れた。


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