かみなりと約束
轟音とともに、一人の男が、重たい扉を開け、入ってきた。
彼女の最も大事な、闇の支配者であり、魔族の長、妖魔の皇子であった。
「ピサロ様……!」
扉が開くなり、すぐさま駆け寄り、彼女は、男にしがみついた。
彼は、そのまま黒衣で被せるように、優しく彼女を抱き寄せた。
「ロザリー」
たった一つの想いを互いに寄せ合う二人は、暫くそのままでいた。ひとときの現、お互いの存在こそ、還る場所。
ひとときだからこそ、惜しみ、なおのこと、愛しく感じる事も気づかぬまま、想いを重ねる。
躰を少し離し、僅かに開いた唇に口付ける。
ー一つの儀式のように。
甘く、熱く交わした後、潤んだ瞳で見つめられると、吸い込まれそうになる。止まらない。
波が押し寄せ、止まらなくなりそうな衝動を抑えるため、再び、きつく、深く抱きしめる。
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