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きみにあいたい。(親就/現パラ/就BD)
 …眠れぬ。

 元就は携帯を手に持ったままごろりと布団の中で寝返りをうった。
 時刻は夜中12を過ぎたばかり。普段なら既に眠ってしまっている時間だ。確かに睡魔はじわりじわりと襲ってきていると云うのに、何故だか妙に目が冴えて仕方がなかった。


 携帯を一度開いて時間を確認する。暗闇の中の人工的な光は目に痛く、思わず目をしばたたいた。もしかしたらザビー様公式携帯サイトから引っ張ってきた神々しいザビー様の待ち受け画像が眩し過ぎたのかもしれないと、元就は妙に納得したように頷いた。
 少しずつ光に慣れてきた目がとらえたのは『12:15』の文字。それと『3月14日』の文字。






 嗚呼、そう云えば…






 ふっと思案に目を細めた瞬間、携帯のきらびやかな瞬きと共に煩い音楽が流れてきた。とっさに通話ボタンを押して耳に当てる。

『元就!』

 その声の主は、

「…ちょう、そかべ…?」

『外!窓の外見ろよ!』

 元就の問いに答えない元親に些か腹は立ったが、素直にカーテンを開けた。その先、道路には、

「………は?」

 寝ている家族を起こさないように、けれど急いで外に出る。そこにはとんでもなく笑顔の元親が立っていた。

「貴様…っ、今何時だと思っている!」
「いや…いてもたっても居られなくてよ…」

 開口一番に叱られシュンとするが、直ぐにいつもの暖かい笑顔を取り戻して惜しみ無く元就に与えた。

「本当は12時丁度にメールしてやろうと思ったんだけどよ、やっぱ直接言いたくなって、自転車トばしてきた!」

 暗がりのなか目を凝らしてみれば、確かに彼の背後に愛車の自転車が確認出来た。月光を反射する銀髪ばかりに目がいって、そちらにまで注意が行き届かなかった。

「直接言うとは…何をだ?」

 溜め息混じりに問うと、元親は動きを止めて目を丸くした。失礼な態度に一発、いや二発喰らわせてやろうと拳を握った瞬間に聞こえた呟きに、それを止められた。





「だって…今日元就の誕生日じゃねェか」





 その言葉にピンとくるものがあり、慌てて元就は背を向けた。

「ちょ、元就!?」
「五月蝿い黙れ乳首」
「乳首!?」










 まさかそんな。

 夜も眠れなくなるほど、

 12時丁度のメールを待っていただなんて。

 なんて自分らしくない。



 何より、

 メールより直接会えて嬉しい自分がいる。





 誕生日を迎えて最初に見つめた人は貴方。

 そして、





「…誕生日おめでとう、元就」





 最初に祝福してくれるのも貴方。





End.

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