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妄想トリッパー










CH銀狐再登場の回より






あぁどうしようあたしおかしくなっちゃったんだ!


水もしたたるいい男、なんていうけれど。濡れた前髪が額にはりついた僚はいつもより色っぽい。
冬18時。窓の外はすっかり日が落ち、ネオンが夜を彩っている。
この時間に家にいるのが珍しい僚は、一番風呂から上がってご機嫌だ。きちんと拭いていない髪からはポタポタと雫が落ちるが気にするそぶりも見せない。

「…ちょっと、風邪ひくわよ?」
「ふふん。もしそうなったらもっこり女医さんに診てもらうもんねえ〜。可愛い看護婦さんに看病してもらうのもいいな〜。」
「そうはさせるもんですかッ…服くらい着なさいよ」

お馴染みの軽口だが、香は僚からついと目をそらす。
いつもならミニハンマーくらいは飛んでくる会話の流れだったため身構えていた僚は、訝しげな目で香を見る。何となくおもしろくない。
2人の距離をつめて、さらに調子にのってみた。

「それに、風邪ひいたって美女ともっこりしたらすぐ治っちゃうもんね」

そっと耳元に唇を寄せ、

「香ちゃんは相手してくれないの?」
「!」

驚いて振り向いた香の顔が僚の目と鼻の先に。体を急に動かしたはずみか、白い手が厚い胸板に触れている。

―バシッ!!!

一瞬何が起こったのかわからず、固まる2人。僚の頬に女の手形がついている。ここには僚と香しかいない。とくれば、叩いたのは香に違いなく。

「…おまぁなあ…」
「ッ!近寄らないで!!」
「!?」

これ以上ないほど顔を赤らめながらはっきりと拒絶の言葉を吐く香に、さすがに笑えなくなってきた。

「おい香、お前具合でも悪いのか?」
「いいからさっさと服着て寝ちゃいなさいよ!あたしはお風呂入ってくんだから!」

結局、騒ぐだけ騒いでそのまま香はリビングを飛び出てしまった。後に残された男はわけもわからず、怒ったものか悲しんだものか判断しかね、呆然と香が消えたドアを見つめた。



「なにやってんだろあたし…」
自分がとった行動に頭をかかえる。あれじゃただのヒステリー女じゃないの。最低!最悪!
自己嫌悪の嵐に巻き込まれながら、それでも香の顔は真っ赤。
目にちらついて離れないのは、僚の姿。

「どうしてあんないい体してるのよ…」

悔しげに呟く。整った顔立ち、たくましい体。変態じみた性格だから、経験豊富に違いなく、放つ色気だって半端じゃない。
それに比べてあたしは…。

―俺ともっこりするか?香
―つまり、本当の恋人になるか?

僚にそう言われ、動揺はしたが嫌じゃなかった自分。好きになった以上、結ばれたいと願うのが人の性だ。そして結ばれれば続きがあるわけで。
以来、ふいに僚が見せる男らしさを今さらながら強烈に意識してしまう香がいた。
今まで経験したことのない悩みに全面降伏状態。
そんな時にはからずも僚の胸に触れてしまったから動揺しきって思わず叩いてしまった、というのが先ほどの真相である。とても打ち明けられやしない。

―ああもう。なんだってあいつは恥じらいっていうものがないのかしら何であたしがこんなことで悩まないといけないのよ。まるで僚みたいじゃないの!!

僚の行動のいちいちに反応していては、パートナーなんてつとまらない。
まして、アイツは自分をそういう対象には見ていないんだから。

「意味不明過ぎよね、さっきのは」

お詫びに、明日は少しゆっくり寝かせて、朝ご飯もすこーし豪華にしよう。少しよ!やりくり大変なんだから!!
僚へのフォローを考えながら、早くこの病気が治ればいいとため息ひとつついた。
















******
恋の病がアダルティーな方向に行っちゃった香ちゃん。
こんな話書いたけど、別に欲求不満じゃないですよ?笑



ぎゃ!銀鼠とか書いてました!!狐です狐ッ

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あきゅろす。
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