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饅頭こわい







「ひと仕事終えて、乾杯ってことで。」

―キンッ
よく冷えたジョッキがぶつかりあい音を立てる。
いつもの喫茶店ではなく、アフターファイブを楽しむ人々で賑わう居酒屋にいるのは僚とミックだ。

「っくぁー!この一杯のために生きてるねえ!」
「…泡ついてるぞミック。」

幸せそうにビールを飲みほすミックを見ながら、僚は冷静に指摘した。
シティーハンター本来の仕事を片付けた後は、酒と女でその名残を消すのが常だが、なんだって今日の相手は野郎なんだちくしょう。

「なんでオレと飲まなきゃならんのだと考えてるんだろう。」

ふいにミックが図星をつくが、さして動揺もせず答える。

「良かったなミック。お前はKYじゃないようだ。」
「〜ッ!どぉーしてお前はそう腹の立つ物言いしか出来ないんだ?カオリが愛想を尽かさないのが不思議だよ。」
「俺から言わせるとかずえ君がお前を野放しにしてるのが不思議だがな。」
「あん?どういうことだ?」

ミックは焼き鳥をほうばろうとした手を止め、僚をいぶかしげに見やった。

「クローゼットの右の戸の裏。」

―ブッ!!!!

「…人の顔にツバとばすなよ。」
「なななななんでそれを知ってるんだ!?」

僚が放った爆弾。
ミックの部屋のクローゼットの右の戸の裏。
そこには彼の血と汗と努力で勝ち得た香の隠し撮り写真が収められている。もちろんかずえには内緒だ。

「かずえ君に聞いた。」

内緒のはずだった。ああ無情。
悪事の露見を知り、がっくり肩を落とすミックに僚は追い討ちをかける。

「罰として新薬の実験台になってもらうとよ。」
「おぅ…ジーザス…。」

食欲をなくしたのか、焼き鳥を皿に戻すとビールをちびちびやり始める。もともと白い顔が紙より白い。ならばとミックの分までがっつきながら僚がもらした。

「…そんなに香は魅力的かねぇ」

とたん、ミックの目が輝く。

「そりゃあもう!カオリは最高だ!!」
「ふぅん」

気のない返事をする僚に、思わずため息が出る。
と、疑問が頭をもたげた。
「ところで、今日の仕事、カオリに」
「言ってねぇ。」
「な」
「言うなよ。」

喋ろうとしてことごとく先手を打たれ、憮然とした表情になる。本当にカオリが知らないと思ってるのか?お前女を甘く見すぎだぞ。男の隠し事、しっかり見抜いてるんだからな…カズエ然り。
私情がまじった説教を目線に込め、伝わらないものかと半眼で見つめていると、ふいに僚が立ち上がった。

「じゃ、俺帰るから支払いよろしく」
「なっ!?まだ9時だぞ!ガキじゃあるまいし…って、おいこら待てッ」

そういわれて待つ者はいない。新宿の種馬は俊足をまたたかせ夜の街に消えた。

なんだよ今日はいいことなしじゃんか。そう苦々しく考えたミックの目に飛び込んだのは携帯の液晶画面。

「…ああ、明日は。」

明日は3月末日。
アフターファイブのサラリーマンにまじるような時間に裏の仕事をやり終えたのも、早めに家に帰るのも明日に備えてか。

「バカだねえ。はじめっから前後3日くらいオフにしとけ。」

酔って帰って、またカオリにハンマーされるがいいさ。いつもは帰りが遅いといって落ちる雷が、今日に限ってはこんな時間に酔っぱらってという理由に変わるのだろう。
怒ったカオリもキュートだけど、めちゃくちゃ怖いんだよなあ。

でも実は、それすら羨ましいなんて。これだけは誰にも秘密だと、そんな思いを抱きながら、ミックもまた店を出た。


怖いと好きは表裏一体。















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なんだこれ。
ぐだぐだぐだぐだ…。
とりあえず僚ちゃんは支払いを踏み倒しましたね。


もっとわかりやすいタイトルつけようっと。



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あきゅろす。
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