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clap集
稲妻 (デザ←あつ→しろ)






†デザ←あつ→しろ








「おーい吹雪!」
「今行くよ!」


雷門のみんなが兄貴を呼ぶ。
ちょろちょろ飲んでいたスポーツドリンクを半ば放り出すように置いて、兄貴は嬉々として走り出す。
フィールドと外を仕切る白い線まで来た瞬間に俺はそこで立ち止まるが、兄貴は止まらない。
(つーか、もう二度と止まらないでくれ)

ピッとホイッスルが甲高く鳴る。
白線の外からフィールドを見守るのは俺で、白線の内のフィールドを駆け回るのは兄貴だ。
俺の姿には気付かない。
それでいい、そのままでいい。
兄貴はもうひとりじゃねぇんだ、俺はこうして、兄貴が死ぬまでずっと、フィールドの外で見守り続けていくんだ。


「……あいつは俺に、気付くかなぁ」


今はどこにいるのかもわからない恋人へぽつりと呟いてみる。
何を喋ったって誰にも届かないことばなら、今なら言ってもいいよな?


「俺にとって一番は兄ちゃんで、俺は兄ちゃんなんだから、これでよかったんだ。でも最後にひとつだけわがままが通るなら、そうだな……あと一回だけ、会いたかったぜ」


後悔なんかしてねぇよ。

結局俺は兄貴が勝手に作り出した兄貴自身の一部なんだ。
そんな俺が兄貴とは違う奴を好きになる時点で、それがもうイレギュラー。
むしろ兄貴と完全にひとつになった今でも、『俺』が残っていることが奇跡なのかもしれない。


「………なあ、俺、ちゃんと残ってんだ。まだ残ってんだよ、お前を愛してる『アツヤ』は士郎の中に残ってる」


もしも次会えたその時に、士郎の中の俺にあいつは気付いてくれるだろうか。






「いけ吹雪!シュートだ!」
「うん!」


兄貴の放ったウルフレジェンドがゴールに突き刺さる轟音と、喜びの雄叫びをあげる仲間達。
絶対に届くことはないと知りながら、それでも俺は一生懸命、拍手した。

よかったな兄ちゃん、やったな兄ちゃん、かっこよかったよ兄ちゃん、すごかったぜ兄ちゃん。
ぱちぱちぱちぱち、心を込めて拍手を送る。
心もなにも、元々俺は兄貴の心の一部そのものなんだから意味はないだろうけれど。
伝えたいことが、ひとつだけ。








「愛せよ、兄ちゃん」
(俺の愛は、どっちに先に届くだろう)













――――――――――

アツヤぁ…!




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