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get & gift
恋は戦争!3







「さて…これからどうする、吹雪」
「え、僕?」
「お前が一番来たいと言っていた筈だ。俺はそれに付き合う」
「…うん、ありがとう!」

妹に接する時と同じように、吹雪に優しく声をかける豪炎寺と、それに柔らかく微笑んで返事をする吹雪。
傍から見ていれば仲の良い兄弟かなにかのような光景を、染岡は半ば睨むように傍観する。

「とりあえず、お土産みたいなの買いたいな。北海道のみんなとかサッカー部のみんなとか…アツヤにも」
弟の名前を出された時、染岡は自分の頬が僅かに引き攣るのを感じた―のと同時に、一瞬、豪炎寺の眉間に皺が寄るのを見た。
が、あえて触れずに吹雪に苦笑混じりに返す。

「おいおい、そんな買ってったらえらい大荷物になんぞ。旅行に来たんじゃあるまいし、部のみんなにはそんな大袈裟なことする必要ねえだろ」
「白恋の人たちにも、もっと他のところでいい土産物が見つかると思うぞ」
「そういうもの?じゃあ…アツヤにだけ何か探してくるね。今日食事当番代わってもらっちゃったし」
「おう、行って来い」
「ここで待ってる」
「うん、すぐ戻るね!」

ぱたぱたと掛けて行く吹雪の背中を見送る染岡の肩に、再び置かれる手の感触。

「…さて。どういうことか説明してもらおうか」

澄み切った空の如く爽やかな豪炎寺の笑顔だったが、顔のパーツの組み合わせ以外は何一つ笑っていなかった。

「吹雪の前では互いにフェアに…だったよな?」
「…悪ぃ。ちょっと魔が差した」
「…まあいいさ。ハンデがあるくらいが丁度いいだろう」

ふっ、と笑う豪炎寺の顔に、染岡は心底シュートを蹴りこんでやりたいと思った。




「おまたせー」
「おう」
「いいの、あったか」

楽しそうな様子で駆けて来る吹雪に、二人は険悪な空気を一時和らげ、おかえりと声を掛ける。
何故か片目を瞑り、そちらを気にしているようだったが、とりあえず豪炎寺はそれに触れずにおいた。

「うん、色々あったよ。すごいね、見たことないようなのとかいっぱいあった」
「楽しめたみたいで良かった」
「ていうかお前なんで今片目なんだ。目にゴミでも入ったのか?」

気になって仕方なかったらしい染岡から投げかけられた疑問に、吹雪は一瞬きょとんとするが、すぐにあはは、と笑う。

「なんか目がちょっと変な感じがして―」
そう呟きながら、吹雪が自分の目に手を遣り、手のひらで覆ったところで

「あ」

ぼろり、と、吹雪の手の中から小さな球体が転がり落ちる。
豪炎寺も染岡も、思わず目で追い、それが転がっていくのを見送る。


「―――っっ!!!!!」
一見白いと思っていたその表面に、一部黒い部分が現れる。
全様を目で追っていて判明したその正体は――眼球、だった。

「ふふふふふふ吹雪おおおおお前めめめめめめ目が」
「なんてねっ!驚いた?」

ぱっ、と目に添えていた吹雪の手の下にはきちんと二つ、綺麗に瞳が残っていた。
横でこの上ない慌てぶりを見せる染岡を一瞥し、豪炎寺は至って冷静なまま興味深そうな顔をしただけで。
「なるほど…面白い物見つけたな」
「あんまり通じる人いないだろうなと思ってたけど…ここまでリアクション取ってくれるとやりがいがあるね。狙ったけど」
「だ、そうだぞ染岡」

幾らか不服そうに豪炎寺が染岡の肩を叩いた瞬間。

「「…あれ」」

ばたりと、染岡はその場に倒れた。

「ギャアアア染岡君!やりすぎた!?ってうわぁあ白目向いてるし!ちょっ、大丈夫!?どどどどどどうしよう」
「落ち着け吹雪、とりあえず目立たないところに運ぶんだ」

なんだかうっかり起こしてしまった殺人事件の後処理のような会話をしながら、どうにかこうにか死体(仮)を近くのベンチに運ぶことに成功した。

「…染岡君がここまで怖がりだと思わなかった…」
「ああ、俺も予想外だった…」
「お化け屋敷…悪いことしちゃったかな」
「いや、結構楽しんでたみたいだから、大丈夫だと思う」
フォローしつつも目線が遠い豪炎寺に吹雪はふっと微笑む。

「よく分かってるんだね、染岡君のこと。…羨ましいな」
「…いや、ただ付き合いが長いだけだからだと思う」
「それでもそういうところからチームワークって生まれるものだと思うから…凄いと思うよ」
そういう意味か、と安心しつつも羨ましい、という言葉に胸が絞め付けられるようだ、などという女々しさに豪炎寺は頭を抱えたくなる。
そこにチームメイト相手にボールを蹴りこむ容赦のなさは無かった。
けれど、今をチャンスと見ている以上、このまま黙っているわけにはいかなかった。







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あきゅろす。
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