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Tales
ガイ様華麗にレプリカ事件7 (TOA、V)





「………まぁずっとここにいるのも飽きたことですし、調べるならさっさと出発しませんこと?」

話がまとまらないため、一同はナタリアの意見に賛成して宿を出た。
ちなみにアッシュの食材を持たされたのは害だった。

「名前についてはもうツッコまねぇからな…」




「…………あのさ、」

「「なんだルーク?」」

爽やかな笑顔を二つと嫉妬のオーラを一つ、奇怪なものを見る目を多数浴びて、ルークは宿を出てから一分で後悔した。
ナタリアに賛成するんじゃなかった。

「…歩きにくい…んだけど……離れてくんね?」

「「一分一秒でも長くルークの側にいたいから無理だな!」」

(うぜええええええ)

左右をガイでがっちりと固められてルークは街を歩く。
さっきから背後のアッシュによる無言の回線が繋がれっぱなしで頭が痛いし、何より街中の注目を浴びてるのが居心地悪いどころの話ではない。
そして何よりうざいのがジェイドのくすくす笑い。
助けろよ!!!

(回線繋ぐぐらいなら助けろよアッシュ!)

(…………)

(おいアッシュ!俺なんかした!?)

(…………屑が!)

(…………あぁ、うん…)

(え、あれ?屑?ちょっ…?)

ダメだこいつ、早くなんとかしないと…
ただ嫉妬しているだけのアッシュに気付くことなく、ルークの中のアッシュの称号は「なんかもうおかしい奴」に更新された。
哀れアッシュ。

もういっそ暴れてやろうか、などとルークが子供特有の癇癪を起こしかけた頃に、それはやってきた。

「おい!」

「ん?」

若干の怒りを含んだ声に呼び止められ、首だけを回して後ろを向くと、大股でずんずん近付いてくる青年が1人。
黒を基調とした服を身を包んだ漆黒の長髪を持つ彼は美人と形容するに相応しく、真っ直ぐ見据えた目はやはりこちらに用事があるようだ。
後ろを歩いていたジェイド達が彼に道を開けると、彼はジェイド達に目もくれずにルークの前…………いや、(オリジナル)ガイの前に立ち止まった。

「はあ…やっと見つけた」

「へ?」

「ったく、いきなりいなくなったかと思えばこんな所で何してるんだよ。しかもなんだ?騎士様にしては一夜で随分とまぁ思い切ったイメチェンだなぁ、オイ」

「は?はあ!?」

「ほら戻るぞフレン!仕事、あんだろ」

「ちょ…ちょっと待った待ってくれ!」

ガイの腕を掴んでどこかへ行こうとする青年をガイが必死に止める。
彼は不機嫌そうな顔をガイに向けた。

「ちょ…落ち着け、人違いだ。俺はフレン?って人じゃなくてガイだ、ガイ・セシル。人違いだよ」

「はあ?なんだよそれ…歳いくつ?」

「え?21」

「フレンじゃねぇか」

「判断基準そこ!?」

「そんな横波の短い金髪に長身で剣士で21歳な奴、この街にフレン以外いるかよ!」

「なにその言い掛かり!?」

ちょん、とルークがガイの袖を軽く引っ張る。
ガイが振り向くとルークが純粋な目でガイを見つめていた。

「ガイ……知り合いか?」

「ん?」

やっとルークの存在に青年は気付いたのか、今度はじっくり観察を始めた。
まず容姿に服装、身長差、ついでに年齢を聞き、ガイとルークを数回見比べてから青年は何かを悟って血の気を引かせた。

「ひでぇフレン…昨日散々俺に好きだの愛してるだのやりまくったくせに浮気とか…しかも子供……軽く犯罪じゃね…?」

「え、え、えええええっっ!?」

だがガイに混乱する隙はない。
ぐすっと鼻をすする音がすると思えば、

「ガイ、お前っ……あー、そっか、そうだよ、な…俺、一応お前の仇だったん、だよな…ぐすっ……あ、いいよ別に!俺のことっ…好きだ大好きだって言ってくれてたの、本気にした俺が馬鹿だったんだよな、やっぱ…は、ははっ……う、ぇっ…ひっ…!」

「――――――――っっ!?!?」

ぽろぽろ、とルークの瞳から滴が零れていく。
くしゃっと顔が歪んだと思うと、本格的にルークは泣き出した。

「泣くなよっ…大丈夫、お前は悪くないんだ、悪いのは俺らを弄んだあいつなんだから…俺までっ…!」

「うっ、ひっ…うあああああんっ!」

ルークを慰めている内に青年も涙がこみ上げてきたのか、彼にしがみついて本泣きするルークの頭を撫でながら彼もゆっくり、涙を流し始めた。
容姿が美人なだけに、破壊力は大きい。

「えちょっ!?ルゥゥゥクゥゥ!?はっ…」

意味もわからず因縁をつけられているガイはやはり混乱する一方だが、それどころではない。
仲間と赤毛の片割れから発せられる怨念と怒りのオーラに、武器を構える鋭利な音。
そして彼らのやり取りを見ていた周囲からの軽蔑の眼差しにガイは今、晒されている。
そんな修羅場にいるガイ達は、そこが今修羅場だからこそ気付かなかった。

レプリカだと想定したガイが何かを抱えるように頭を抑え、痛みに耐えながら小声で「…ゆー……り…?」と呟いたのを。

彼らは気付かなかったのだ。





――――――――――

ターンエンド!!

ガイ様がどんどん可哀想にwww

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