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Tales
お〜いお茶 (TOV)


†ユリジュディ










「まぁ、こんなとこか」



一時間ほどかけた戦闘を一通り終わらせて、息を整えながら仲間の元へと戻った。
二軍待機組のおっさんとリタが、軽くお疲れさんと受け入れてくれた。
「お疲れ様。ずいぶんあっさり終わらせたものね」
「まぁな。レベル上げが目的じゃねぇし」
ジュディスからタオルを受け取り、額の汗を軽く拭き取る。
――あれ、なんかこれって……
「カロル達はどこかしら?」
「あっちで倒したモンスターからアイテム漁ってるぜ」
「そう。アイテムとお金稼ぎのための戦闘なのに、先に帰ってくるなんてね」
「ラピードがいんのに、俺まで群がったら邪魔だろーが」
図体デカいのは自負してる。
「それもそうね。サンドイッチ作ったのだけれど、どうかしら」
「ん、あぁ。サンキュ」
……こうして、働いた男のために甲斐甲斐しく後世話をしてくれる姿は、はた目から見ればカップルに見えたりするのだろうか。
サンドイッチを受け取りながら、ぼんやりとそんなことを思いつつ彼女を見つめていると「私に何かついているのかしら」と笑顔で返された。
今思っていたことを素直に伝えれば、冗談は嫌いでも妙な悪ノリは好きなジュディスなら何かしてくれるだろうか。
「………いや、なんでもねーよ」
(そりゃいくらなんでも欲目出すぎ、……か)
まぁ、無言でこちらに嫉妬の視線をくれるおっさんの反応に、少しだけ自惚れようか。
本人曰わく、「ふとまた食べたくなる」味付けの料理を堪能した。
今夜あたり、クレープでも作ってやるかな。
「ただいまー!見て見て、いっぱい取れた!」
カロルが何やら腕に抱えて戻ってきた。
すぐ後ろからエステルとラピードも続いていて、暇そうにしていたリタとおっさんは待ちかねたように駆け寄っていった。
「これで新しい防具が買えそうです!」
「ワウッ!」
「おかえりー、一軍。次は武器代稼ぎね」
「んじゃぁ、疲れてる君達におっさんの愛を……!」
「えー!?レイブンのとかやだーっ!」
「くたばりなさい、おっさん!」
「うっわちょっとリタっちやめっ…ゃ…ぎゃああぁぁ!」
……元気なやつらだな。
「ふふ……あなたは行かなくていいのかしら?」
「これでも、最年長だぜ?」
「レイブン、彼がいるじゃない」
「あれは大人の内に入んねぇよ」
「手厳しいのね」
「事実だろ?」
それもそうね、そう微笑むジュディスを見つめながら、同じく彼女が用意してくれたお茶に口をつけた。
あぁ、渇きがいい具合に潤う……
「どう?お味は」
「相変わらず美味いな」
「いいえ、お茶の方よ」
「は?」
「ジュディスー!次、あたし達の狩りの番よ!」
「えぇ、すぐ行くわ」
リタに返事をして、槍の準備をするジュディスはひどく楽しそうだ。
お茶の味?
「なんか違うのか?」
「せっかくの謎かけなのに、答えを言っては意味がないでしょう?」
それもそうなのだが、そんな言い方をされると余計気になってしまう。
おそらく、そう仕向けられたのだろうけど。
だがわからないものはわからない。
お茶なら昨日も飲んだし、昨日は野宿だったからお茶は同じもののはずなのだ。
「おい、ジュディ!どういう」
「本物が欲しければ、」
言葉を遮り、その先の言葉に含みを持たせて、彼女は妖艶に微笑んで言った。
「本物が欲しければ、今夜に答えを聞かせてね?」
今夜だけなら待っててあげるわ。
「……………しまった、」
逃げられた。
溜め息をつくと幸せが逃げるとはよく言ったもので、今まさに溜め息をつきたいくらいだ。
いや、もうついた。
「ったく、なんなんだ……」
再びお茶の揺れるコップを持ち上げて覗き込む。
そこに映る自分は、ひどく附に落ちないという顔をしていた。
あーあ、幸せが逃げちまった。
とりあえず飲み干そうと、コップに口をつける。
(……………、あっ)
コップを傾ける。
お茶が唇に辿り着く直前で動きを止めた。
これって、まさか、いやもしかして……
「………そうゆう、ことかよ」
口を離してコップをまじまじと眺めて、やっと違いに気付けた。
このコップは野宿の時に使うジュディスのものだ。
そういえば、昨日もこれで飲みながら談笑してたっけ。
つまりは、関節キス。



『本物が欲しければ、今夜に答えを教えてね?』

『今夜だけなら待っててあげるわ』



てことは、今夜ならいいんですかジュディスさん。
「ったく、回りくどいことを……」
そっちがその気なら、嫌というまでキスしてやる。
「ユーリ、どうしたんです?……ってそれ、ジュディスの……」
「あぁ、預かってくれってさ」
「だけどさっき、飲んでなかったです?」
「さぁな、気のせいだろ」





大体一時間後、リタ達が狩りから戻ってきた時、意趣返しにと俺は自分のコップにお茶をついで、ジュディスを迎えた。


「おーい、お茶でもどうだ?」








――――――――――――
試し書き…な、あとがき
うわあああ意味わからんユーリさんがっつきすぎたラピードとか空気すぎるww
これはユリジュディのつもりなんだが、ジュディユリに見えなくも、ない…?^q^
うわあああ頭オワタ\(^q^)/

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