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Tales
テイルズ家族パロ2 (all)

※アシュルク※


第2話・ラブコメなら学校でやりなよ









「ほら、来てやったよ」
「いらっしゃい!いやぁ助かるよ!…………………あのおじさんの方じゃなくて」

しんみりと噛み締めるように言ったスタンには苦笑で返した。

「まぁ、ね……出来ればうちにも後で手伝いがほしいなぁ、なんて」
「………あぁ、なるほど」

あの後ティアに見つかったヴァンは言うまでもなくミンチにされた。
室内でジャッジメントを使ったせいで、我が家の天井に大穴が開いたのだ。
罰としてヴァンに修理させてるけど穴の開いた家にいたくないので、今日中に修理したい。
どうもスタンはただの天然じゃないようで、大体の事情は察してくれた。

「……おい、やることねぇんなら帰るぞ」
「こら、アッシュ!いくらなんでも気が短すぎるだろう」
「ふんっ」

苛々が積もり始めたアッシュをラルゴが諫める。
徹夜明けを無理矢理叩き起こしたせいで超不機嫌だ。
恨むならヴァンを恨んでくれよ。

「あはは、ごめんごめん!とりあえず入って」
「おっじゃまっしまーす」
「失礼する」
「………」

我が家に負けず劣らずの大きな家…………というのが外見だが、中は家というより宿屋に近い構造だった。
うちはみんなの寝室も共用スペースも並びはごっちゃになっているから、それと比べたらなんとも覚えやすい構造だ。

「ねぇ、何人で住んでんの?荷物はあれど姿が見えないんだけど…」
「うーんと、俺を含めて12人だよ。ユーリはヴェイグと今買い物中で、他のみんなは先に部屋を片付けてる」
「ふぅん……」

ヴェイグって、誰。

「ここがリビングな」
「うあー……」

リビングと言われて通された部屋はダンボールで山積みにされていて、ちょっとしたジャングル状態だ。

「………ラルゴ、入れる?」
「…………………すまん」
「ごめんな?とりあえず中に入れようって運びまくってたらこんなことになっちゃって…」
「ふん、見境なさすぎじゃねぇか」
「アッシュ、ことばに気を付けなよ」
「うるせぇ!俺は眠いんだ!」
「あっそ、じゃ帰れば?…………今から帰ればもれなくヴァンと二人きりで『ラブラブ☆天井修理』イベントが待ってるから」
「………ちっ」
「……あの…………僕はもう出てきてもいいかい?」

ダンボールの間からひょっこりと茶髪の男が飛び出してきた。
一連の会話を聞いて居心地を悪くしたらしい。

「ごめん、この鶏デコは気にしなくていいから」
「シンク、てめぇ……!」
「落ち着け、アッシュ」
「あはは……えーっと、改めてはじめまして。僕はクレス・アルベイン。君らが手伝いにきてくれるお隣さんだね?」
「まぁね。力仕事のできる男が僕らしかいないから三人で我慢してよね」
「いやいや、充分だよ!ありがとう!」
「〜〜〜〜っ……おい、いつまで話してる気だ!」
「げ」

うっわキレたよこいつ…

「帰る!!」
「えぇっ帰っちゃうのかぁ!?」
「あぁっ今はまずいよ!」
「うるせぇ!!」

上げた前髪をガシガシとかき回して下ろし、クレスとスタンをかえりみずに背を向けた。
仕方ないからラルゴに通せと目配せをする。
いても使えないんじゃ邪魔だし。

「だから今はだめだってぇ!」
「はあ!?ぅおっ」
「わっ!?」

ダンボールだらけでわからなかったが、ラルゴのすぐ後ろには一気に二箱を持ち上げてふらふらしてる誰かがいた。
もちろん、アッシュとは見事に衝突。
荷物を山積みに持っていたせいで相手は後ろに倒れ、支えようとしたアッシュもバランスを崩して上に覆い被さるように倒れた。
はたから見れば、アッシュより明るい赤毛の男をアッシュが押し倒したような感じだ。

「ルーク!!」
「だから言ったのに……」

じゃあもっとはっきり言ってよ。

「ってぇ……あ?」
「いっててて……ん?」
「…………」
「えっと……すんません、俺、気付かなくて…」
「…………」
「…あのぉ…?」
「…………」
「ちょっと……」

ルークと呼ばれた奴を押し倒したまま、アッシュはじっとルークを見つめていた。
さすがにずっと見つめられたままじゃ恥ずかしいのか、アッシュの下でルークがそわそわしだした。

そりゃまぁ、前髪下ろしたアッシュは結構美形だし?
そりゃ照れるよね。

「………おいてめぇ、名前は?」
「へ?ルーク、だけ、ど…」
「そうか……」
「…………」
「…………」
「………あー…そっちは…?」

さすがに名前聞かれたまま沈黙しっぱなしじゃ居心地が悪いようで、とりあえず聞き返す。
そしたら気色悪いことに、あのアッシュがふっと笑いやがった。

「アッシュ、だ…」
「ひゃっ……!」

うわああああ頬撫でるなよセクハラだよ!?

「な……なんだ、あいつ…?」
「………ごめんうちの鶏デコちょっと頭湧いてるみたい」

誰かあいつ訴えてきてよ。

「あっああああっしゅ!……さん!」
「さんはいらん」
「あ、アッシュ!そのっ、に、荷物が…」
「ルーク!」
「はっはいぃっ!?」

わたわたと慌てるルークの両手首を頭の横に押さえつけて、完全に押し倒した体制となった。
…………やな予感。

「ルーク…」
「え、あ、なに……?」

ちょっと待てこのデコ野郎が顔近すぎる離れろよ!



「………………結婚してくれ」

「死ねばいいのにっ☆」











……………その後、差し入れを持ってきたイオンにアッシュはシバかれた。
死ねばいいのにと明るく言ったその笑顔とは裏腹に、イオンのお仕置きはグロかった。
毎朝あんなのが隣にいると思うと鳥肌が立つ。

無事に荷解きも天井修理も終わり、お互い庭がフェンスで阻まれていたが、1日でかなり仲良くなってしまったのでラルゴとユーリでそれを外して庭を繋げ、その夜はみんなでバーベキューだった。


「…アッシュ………か…」


少し離れたところでひとり、ぽつりとルークが呟いたのを聞いたのはたぶん僕一人だろう。









―――――――――――
イオン様は最強ですwww

アッス自重しやがれww



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あきゅろす。
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