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何この雰囲気




でも…案外居心地いいんだなー。

俺の体が小さくなったからっていうのもあんだろうけど、あぐらの真ん中にすっぽり収まる感じ。

まあ幸村が半裸なのは頂けないけどな。
俺もよく考えてみたら半裸な上、傷が化膿しかけでじゅくじゅくだし。
よっかかることもままならねえよ。

「…………。」

「…………。」

幸村は真剣に薬を包帯に塗っているらしい。
俺を膝に乗せながらだからちょっとやりにくそうだ。

「(……汚ないな。)」

しかももとがアレだから薬の塗ってあるところと塗ってないところの差が激しい。
不器用すぎて笑える。
俺的には笑えねえ。

「(…しょうがねえ手伝ってやるか。)」

「!薫殿…??」

手を伸ばして、幸村の手と包帯を引き寄せた。
幸村の手から包帯をぶん取ると、幸村の手に付いている薬を自分の手に移し、包帯に塗る。
手伝うっていうか、コレ自分で使うもんを自分で用意してるだけだよな。

「…薫殿は器用にござるな。」

「(お前より不器用なやつそうそういねぇと思うぜ(笑))」

すーっと包帯の面を何回か撫でているとあっという間に薬が塗れた。
手に残った薬は、腕に適当に擦(ナス)り付けておく。

「(幸村、コレつけてくれ。)」

傷に巻いたら完成だ。

「…薫殿は、友、というものをお持ちか?」

「(うん?)」

頭上の幸村を見上げると、返ってきたのはなんだか沈んだ目。
いきなりなんだコイツ。

「い、いや!
べべ別に某薫殿と友になりたいとなど思ってもおりませぬぞ!!!!」

「(…はぁ?)」

え、酷くね?
コイツ何気酷くね?

友達になりたいなんて思ってないってすっごい傷つくんだけど。

幸村は焦ったように見上げる俺から目をそらし、「ほ、包帯が完成したのか?すごいでござる!」と俺から包帯を取り上げ、俺の胴体に巻き始めた。

今までの幸村など嘘のように、あっという間に巻き終わってしまった。
いったいなんなんだコイツは。

「…そ、某は…」

「(……………。)」

つかさぁ、さっきから思ってんだけど。
この雰囲気何?
すっごいしんきくさい。

それに包帯巻き終わったなら膝から下ろしてくれ。
こんな広い部屋なのになんで男二人が一つの場所にかたまってなきゃなんねぇんだ暑苦しい。

袖だけ脱いでいた着流しを着ると、幸村が俺の目の前に手を回し、がっちりホールドされる。

え、ちょ、やだ。

「薫殿にこんな話をするのは変でござるが…
某は、友を一人として持ったことがない。」

「(えぇ!?まじかよ!?
寂しい奴!
…でも何でいないのか想像つくぞ俺。)」

「戦の時も、食事の時も、修行の時も…
共に事を成す友はいなかった。」

「(変な単語が混じってるのが気になるんだけど。
佐助は?佐助は違うのかよ?
お前と同じでそういうの好きそうじゃん。)」

「しかし其故、戦で功名を立てられたのも事実でござる。
気にかける者がおらぬととても楽なのだ。
未練などなく、戦に臨める。」

「(あ、佐助スルーなんだ。
佐助カウントに入れないんだな。)」

「しかし、それでも某は…
友が欲しいと思っている。
いつ死んでもおかしくはないこの身だが…
それだからこそ、友が欲しいと思えるのだ。」

「(…これって聞き流していいことなのか?
言ってること意味不明だぞ?)」

「このまま終わるのは少々寂しい気がするのでござる…
お館様に仕えこれ以上の望みなどない!と、思う俺もいるが…

…俺は、俺が思っている以上に欲深い人間なのかもしれぬ。」

「(某から俺になってるぞー。)」







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