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彼岸の花弁*




女ならば喘ぐとこだろうが…
俺は痛くて痛くてそれどころじゃない。
初めてでないことは確かだがそれはすべて相手自信が気持ちよくなるための行為だ。
生憎俺はMじゃないんでね…。
痛いだけで快楽なんて…いや毛頭から男との行為に快楽なんざ求めてねぇけど。

「っつ、──…っ」

「んっ…!!」

ドクンッ──

もう何度目か、
熱がまた奥に放たれた。

よくもまぁ精液が尽きないもんだ…悲しくないのかねぇ男の中に自分の遺伝子入れて。
たぶん今のを合わせて五六回ヤられたような気がする。

さすがのお兄さんでも疲れたのか、俺に覆い被さったまま、少々息を整えているようだ。

なんか…途中から目的変わってる気がする。
このあと仕事あるっつってたくせに、痛い目合わせて俺から情報聞き出すとかいいつつヤりまくってたし…

でもどちらにしろ結果は同じだったのかもな…
まだこっちでマシだったのかもしれない。
俺はガチで情報なんて一つも持ってなんかねぇし、お兄さんは躍起になってコレよりひどい暴力奮ってたかもしれねぇ。

ツン、と鼻を付く自分以外雄の匂いに、どこか懐かしい感じがしてしまう自分に腹が立った。

…それよりも、なんでまたこんな匂いを嗅がなきゃならない羽目になったのか甚だ疑問だ…

死んだはずなのに、
行為のせいで壁にぶつけた頭からは血が流れ、
手枷が手首の皮膚をめくってくは、
腰は痛いし、
…穴の方もまだお兄さんのをくわえ込んで、
匂いがあって、
猿ぐつわのせいで息をするたんびに微かに声が出て、視界を満たす生気のない寂しげな石の天井に抑揚されて、
嫌でも自分の生を感じてしまう。

自分は何で生きている?
自分は何でこんなとこにいる?
自分は何でこんなことをされているんだ?

…何かの罰なのかよ。
何がいけなかったんだよ?

あの女に殺させたから?利用したから?

わけわかんねぇ…
俺だってこの世で過ごして、ずっと辛い思いをしてたってのに…被害者だ俺は。
この世に産み落とされてしまった、それが全ての始まりだったんだよ…。

神がいるんなら、俺はそいつを許しはしないね。
こんな人生にした神を。

ズルリと自身が抜かれ、緩みきった穴からトロトロとお兄さんの精液と俺の血の混ざったものが抵抗なく流れ出た。

「ふっ…うぅう…」

俺はその心地悪さに身震いをする。
気持ち悪いと心の底から毒づいた。

「…………。」

お兄さんは起き上がると、顔を囲っていた額当て…?を取り髪を掻き上げる。

「…………、」

不意に手を伸ばされ、今度は何をされるのかとジト目の視線をお兄さんに注いだ。
お兄さんの手が口元にくると、突っ込んでいた帯を俺の口から引っ張りだしただけで、あっさり引いていった。

「はっ…」

あー…顎がなんか変な感じする…
外れなくてよかった。

「言う気になった?」

ニーッコリ。

お兄さんを見上げればスッゴいいい笑顔が見えた。
やっぱカッコいいねお兄さん…。
羨ましいけど今の格好見返してから行動したほうがいいんじゃないかな。
俺も素っ裸だけど。

「いえ全然。
お兄さん随分興奮してたみたいですが、気持ちよかったですか?」

ニーッコリ。
声がちょっと掠れてたけど気にしない。

「アハーよくそんな状態で言えるね。
…あぁ慣れてんだっけ?
忘れてたよ肉便器さん。」

肉っ…
やっべぇなんかスッゲェ殴りたい。

「慣れてる、なんて一言も言ってませんが?
肉便器…あなたもよくいいますね。
それに感じて男の穴でそんなにお漏らししてたくせに。
恥ずかしくないんですか?
それともそんなに女の子に飢えてるんですか?
悲しいですねお兄さん。」

「うわぁうっざい。
俺様あんたのことスッゲェ殴りたいよ。」

「それ僕もついさっき思いました。」

「………。」

「………。」

最終的に無言の笑顔の攻防戦だ。
あぁもう疲れてんだからこれ以上疲れることさせないでくれ…

…あぁそうか。

「…ねぇお兄さん、」

思いついたら口が勝手に動いていた。
お兄さんはおんなじ笑顔のままで無言の返答。

「もう俺から情報取れないってわかりましたよね。
…というより初めから情報なんて持ってませんが…」

「…何がいいたいの?」

…その笑顔、確信犯の笑顔だな。

「俺のこと用済みなら、殺してくれませんか?」

忍なら簡単なことでしょ?

「……………それ捕虜がよく言う台詞なんだよね。」

「へぇ、そうなんですか。
僕初めて捕まったんでそれは知りませんでした。」

「……う〜ん…そうだね。
殺すことにしよっか。
あんた力はないけど、口の固さだけは本物みたいだし。
下は緩んでるけど。」

「セクハラみたいなこといわないでくださいよ。
お兄さんじゃくておじさんって呼びますよ。」

「……何か言い残すことある?」

ああそうかよ無視かよ。

お兄さんことおじさんは何処から取り出したのかよくマンガとかで忍者が持ってる苦無を手で弄んでいた。

「…そうですね、おじさん、の笑顔。
中々のものでしたよ。」

「アハー最後までムカつくやつ。
まぁありがとう?
あんたも中々だったよ。」

「どう、ドッ…も。」

言葉の途中に刺すなんて反則だ。
お兄さんの苦無は、寸分の狂いもなく左胸の心臓に突き立てられた。

まさかもう一度転生するなんてことはないだろう。
これでやっと終わりだ。

「さよなら、名前もわからない間者さん。」

「…………。」

じゃあね、猿飛佐助。




(そして世界は再び暗転)

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