同窓会
世間では俺達、ルギアは"海の神"なんて呼ばれてたりするらしいが、正直言えば単なる図体がデかいだけの普通のポケモンだ。
それにも関わらず妙なコレクターが俺とかファイヤーとかフリーザーとかサンダーとか捕まえにきたり?
トレーナー達がよってたかって俺の羽を持ってきては捕まえたがったり?
捕まえてなんになるんだよ。
お陰で俺はサトシとかいうチビっちゃい餓鬼を背中に乗せたり、勝手にハスキーな声でアフレコされたり、モンスターボール何度もぶつけられたり大変だったんだぞ。
確かに珍しいポケモンだとは思う。
自分で言うのはなんだが。
俺のようなルギアは希少価値が高い。
俺は他のルギアと違って、テレパシー能力を兼ね備えていたりするしな。
(映画で使われなかったのは残念だ)
他のルギア?あぁ。
俺の他にもルギアはいるぞ。
ただ皆海底に潜っていて中々顏を出さないだけだ。
…でも確かジョウト地方のルギア親子は一回ロケット団かなんかに捕まったらしいが。
……めんどいからこの話止めにしよう。←
結論からいうと、幻のポケモンなんてもんはな、少なからず一匹以上はいるもんだ。
食物連鎖だって高次消費者が一匹しかいないなんてことはないだろ?
それと同じだ。
ミュウツーは例外。
あいつはミュウのクローンであって自然個体じゃねえんだ。
それとライコウスイクンエンテイも。
あいつらはホウオウの奴に生き返らせられた名もなきポケモンだったそうだ。
…また話ズレたな。
管理人しっかりしろ。
ちょっとWikipediaで調べて感動した事実とはいえ調子に乗るな。
(すいません)←
俺の自然の中での役割は海の平和を守ること。
ドククラゲ共の異常繁殖の阻止やらギャラドス共の大喧嘩への介入だったり結構仕事はある。
海の王子(マナフィ)と協力しあいながら今まで上手くやってきた。
…"海の神"はいいすぎだと思うが、いわれてみればそれっぽい仕事してんな。
申し遅れたが、俺は名前だ。
って…こんな事はなしてる場合じゃねぇんだ。
実はさっき。
今も続いてるんだが、どうやって解決すればいいかわからない問題が起きた。
場所はオレンジ諸島周辺の海底の俺の栖。
必死に泳いでいる。
泳いでいるのに進まない。
それは何故か。
なんか紫色っぽい謎の空間が真後ろで俺を吸い込もうとしているからだ。
突如現れたその空間は明らかに人為的、いやポケモン為的に造られたものだ。
『誰だお前は!!』
『……………。』
答えないつもりらしい。
ちっ、こうなれば力づくで逃げてやる!
俺は身体を回転させて、渦を起こした。
最初は中々進まなかったものの、回転数を増やすと少しずつだが空間から離れることができている。
この調子ならば逃げ切れるな。
そう思ってふっと背後を振り返った。
『………っな!!』
なんだとー!?
その怪しいことこの上ない空間は一定の距離を保って俺についてきていた。
さては疲れるまで待つつもりか!!
スピードを上げるがそれに合わせてその空間も俺に付いてくる。
『このストーカー!
いい加減にしやがれ!』
バシャァアアアーン!
あっという間に水面上に出てしまった。
何年ぶりだこれ。
太陽の光が眩しい。
『……!ホウオウ!?』
前方にホウオウがいる。
随分久しぶりな奴に会ったもんだ。
ホウオウはこちらを見下げ、まるで俺を待っているみたいだ。
なんだ?同窓会でもするつもりか?
『!!くっ!』
グワン、と体が後ろに傾いた。
力を抜いてしまったらしい。
俺の視界は紫色で満たされていった。
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