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出会い





俺は海水の中へと叩きつけられた。

「(っ…………!!)」

背中を強く水面に打ち付けたためか、上手く息が出来ない。

どうやら俺は海に向かって落ちていたらしい。
地面じゃなくて助かった…
俺が落ちた衝撃で起きた大量の泡ぶくが俺の身体を撫でて上へと登ってゆく。

しばらく背の痛みに呻いた。

「(このやろ…飛べればこんなことには…)」

飛べないのに水中では前と変わりはないらしく、ちゃんと呼吸ができた。
(だが今は呼吸がままならない状態だが)

はっとして、痛みもよそに俺は身体の確認を行う。













胴から伸びる二脚。
腰。腹。胸。

手探りで以前より短くなった首と顔に触れる。

顎、唇、頬骨、鼻、双眼、額、…髪…。

「(俺は…人間になっているのか…?)」

口から僅かの気泡が漏れた。

唖然。
状況の整理が上手くゆかない。

誰の仕業だ…?









─────刹那、


俺の頭上の水面に何かが飛び込んできた。

──────なんだ…?

目の前が泡の幕に覆われ、何も見えなくなる。

そしてその幕の合間からにゅっと、二本のがっしりとした腕が伸びてきた。

「(…人間?!)」

確認するように肩を掴まられると、引き寄せられ抱き締められた。

抵抗を試みようとするも、こうも密着されていては何もできない。

つか顔が、押し潰されるっ…!!
何にも見えん!

そのまま浮上していくと、顔だけが水面の外へと出た。

「おい!大丈夫か?!」

投げ掛けられる男の声。
やっと力を緩められ、その顔を見上げることが出来た。




そこにいたのは左目に紫色の眼帯をした白髪の男だった。




[END]
(海の神と海の男)

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