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ピシッと音もなく凍る空気。

俺の頭は真田君が何でここにいるのかとか、さっきの男はどうしたのかとか答えを見つけるためにフル回転をした。

だが答えを導き出してくれたのは、
真田君の次の言葉、

「才蔵に代わってもらったのでござるよ。」

だった。

代わってもらった…
違和感を少し感じるが、あの男…才蔵というらしいが、才蔵さんならあり得るような気がして、俺は迷わず「そうでしたか。」と答える。

だが何でここにこの人がいるのかがさっぱりだ。

手拭いを畳み直して、真田君に向き直る。
納得いかない上に空気が痛いが、俺は笑顔を作って、挨拶を先ずすることにした。

「おはようござむぐ

「お早うございます名字殿。」













…え、何この状態。
挨拶の途中、突然真田君に両頬を挟まれた。
つか現在進行形で挟まれている。
筋肉質な固い手のひらが容赦なく俺の顔を挟む。

全く意味がわからず、俺は眉間に眉を寄せた。
対して真田君はニッコリとあの純真笑顔だ。

真田君のその腕に手を置くとすんなり離してくれる。

何?何がしたかったのか全くわかんねぇんだけど。

真田君を見つめるが答えてくれる様子は全くなし。
(というかそもそも質問していないんだが…)

気を取り直して眉をひそめつつ微笑んだ。

「…真田さん今のはんむ

性懲りもなくまた挟んで来る真田君。
何だ?俺別に何もしてないと思うんだけど。
今度はすぐに手が離れていった。

「今日はいい天気でごさるなぁ。」

「そうですむぃ

パッ

「まるで名字殿を歓迎しているかのようだ!」

「そんなことnんぐ

「ところで名字殿、もう朝餉は食べられましたか?」

「…ひぇまられる…れも、
(いえまだです、でも)」

「それはいけないでござる!
某もまだでござる故共に朝餉にしましょうぞ!」

パッと手を離されると、
異論を唱える暇もなく俺の手をガシッと掴み部屋へと引き摺られていく。

いや俺食欲ないんだけど。
…つっても止まらなそうだな。

また挟まれるんじゃないかと俺は閉口して黙って付いていくことにする。

頭を過るのは昨晩のお兄さんの言葉。

『あんた、明日から苦労することになるかもねぇ。』

…たぶんこれのことなんだろうが…

「…真田さん、さっきからいったい何のつもりなんですか…」

渋々真田さんに問いかける。
すると真田さんは沈黙したあと、

「お主の面を剥ぎ取るのだ。」

と決まったことのようにはっきりと言った。




(見たい、見たい、見たい)

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