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支離滅裂自滅




「庭から侵入…」

「アハー侵入じゃないからね〜。
仮にも名前ちゃんがこれから住むとこなんだから。」

俺らが出たのはたぶん城の庭に当たるところ。
木で上手く隠されていて、そのまま回廊に足が付けるようになっている。

俺が廊下に上がったのを確認すると、お兄さんが鉄製の重々しい扉を静かに閉じた。

夕刻だとかお兄さんは言ってたけど、もう辺り真っ暗だ。
そんなに地下牢と変わらない。
ただ月光だけが地上に光を降り注いでいる。
空を見上げると見えたのは満点の星…。

「………、」

「?どうしたの名前ちゃん。」

「…別に。」

綺麗だ、とか思うなんて、自分はどうかしてしまったんだろうか…。

世界は、汚いものだ。
それを忘れるなんて…

さっと空から視線を逸らしてお兄さんに笑顔を向ける。

「じゃあお風呂に案内するから着いてきて。」

「風呂…」

「頭だけ洗うの面倒くさいでしょ。
どうせなら風呂入っちゃいなよ。」

「…そうします。」

それを聞くとお兄さんは身を翻して歩き出した。
俺もそれについてゆく。

戦国時代の風呂ってどうやって入るんだろう…。
やり方知らないけど、なんとかなるか。
所詮はゲームの世界だし…。

正直早く頭より体洗いてぇ…。
拭いたとか言ってたけど、それってつまり布とかでってことだよな?
他人にやられたと思うと寒気がする…

「はいここ。」

お兄さんががらっと引き戸を開けて俺を振り返る。

「泊≠チ」

「いや近かったもんで♪」

…さいですか…

どこから取り出したのかお兄さんに手拭いを手渡された。

「油は風呂場の桶に入ってるからそれ使って。」

あ、油…ってなんだよ…(←この時代にシャンプーなんてありません。髪を綺麗にする習慣はなかったそうです。綺麗に見せる習慣として髪に油をつけていたそうです。以上管理人から豆知識。…間違ってたらさぁせんw)←

「じゃあ俺様は旦那んとこ行くから、名前ちゃんは風呂上がったらじっとしてて。
…逃げようなんて間違っても考えないでよ?」

覗き込まれながらそう言われる。
俺は微笑みつつ、

「逃げても僕じゃ簡単に捕まっちゃいますからご安心を。」

と言った。
お兄さんもそりゃそうかと納得。

…自分で言ったことだけどむかついた。←

「じゃ。」

脱衣場に入って後ろ手に扉をピシャリと閉める。
扉越しにお兄さんの小さな笑いが聞こえた気がしたが無視だ無視。
ああもう腹立つ…。

俺はやけくそに帯を解いた。




(何度目だよ服脱ぐの…)

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