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死亡推定時刻




「んじゃ、とりあえずこれに着替えて?」

と言って投げられた新しい着流し。
…赤い、真っ赤だ。

なんで着替えなくちゃならないんだ?しかもこんな目立つような色に…
と自分の姿を見下す。

…なるほど。
血と精液が付いてるからか。
(そういえば尻の穴の痛みが全くない)

麻痺して気づかなかったぜ。

「旦那のお古だから少し大きいかもしんないけど…
まぁそこは我慢してちょうだい。」

「…旦那?」

立ち上がって帯をしゅるしゅると取ってゆきながら首を傾げる。

「…まさか俺様の名前知ってて主の名前知らないわけじゃないよね?」

お兄さんも首を傾げてきた。
うん、キモい。
いい年して何してんのかなこの人。

「…武田信玄さん?」

じゃないの?
バサリと着流しを脱いで、赤い着物を羽織る。

「違うしあんたって案外男らしいな…
よくまあ無理矢理犯された相手にまた裸を晒せるもんだ。」

ジトリとしたお兄さんの視線を感じて寒気が走った。

「今さらでしょう。
だったら見ないでください。」

好きでこちとらストリップショーみたく着替えてるわけじゃねえんだよ。
着替えろっつったのお兄さんだろ?

「いや見る。」

「変態猿。」

「アハー猿は余計だねぇ♪」

変態はいいのか。
…もう何もいうまい。

「違うって…じゃあお兄さん誰に仕えてるんです?」

武田信玄以外の武田の武将…なんて知らないし。
あ、

「山本勘助とか、」

いつかやってたNHKの大河ドラマを思い出して出した名前だが、それも違った様子。
お兄さんはもう何度目になるかため息をついて、

「俺様の主の主は大将。
山本勘助の主も大将だけど俺様の主じゃない。

…まぁこれから会うから。
本当に知らないの?」

「……………知りません…。」

ゲームの中のキャラクターであの女が特に好きだったのが猿飛佐助で、お兄さんの話以外はあまり聞いたことがない。
つかあの女忍が好きだなんだとか言ってたし、武将の方はさっぱりだ。
…まぁ写真?絵を見せられたから、見たら見覚えあるかもだけど…。

きゅっと帯を絞め、完成だ。

「あんたって本当に何者?って着物右が前になってるし(笑)」

それ俺が聞きたい。
って、

「あ。」

死人…本望だけど。

お兄さんの手が伸びてきて、帯を緩めるとあっという間に着流しを正しく着付けしていく。
早業だ…。

「それじゃあ外に出ようか。
体は拭いたんだけど頭は洗ってないから。
あとはそれから、」

ニッコリ笑うお兄さん。
それから、知ってることを全て吐けということだろうか。

…ヤっといてまだそれを言うか。

「…今何時ですか?」

「もうあんたをここに連れて来て1日半。
夕刻くらいかな。」

もうそんな経ったのか…。




(あっちで死んでから)

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あきゅろす。
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