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奏の小説
救出
でも言い返せない。
私って本当に弱虫だよね…。



一時間目が終わっても二人は帰ってこなかった。

(…大丈夫かな?)

「ったく、うっとうしんだよ、存在そのものがきもすw」まりちゃんの言葉にまりちゃんのグループの子が笑っていた。

「…っ;」
さすがに、これだけ悪口言われると病みますよね;
私は黙々と次の時間の宿題をすすめた。
私の大好きなレッドシアターのシャーペンで。

(助けて、レッドシアター……)

「おぉーい、村上‥さん?先生が呼んでたよ?」
蓮下君がそう言った。
先生が何の用だろうか?

「こっちだよ」
昨日の蓮下君からは想像できない笑顔だ。

「で…職員室に行けばいいんですか?」

「ううん。そうじゃねぇーよ。お前1人でいじめられてっから連れ出してあげたんだぜ?礼ぐらい言え!
てかアメくれw」

「え??あ…アメなんか持ってないよ;」

「マジかよ〜つまんねぇヤツ」

「……。」
私がつまらないことはもう承知済みでしょーに。

「てか、お前レッドシアター好きなの?さっき三色ボールペン使ってたでしょ?」
蓮下君がたずねてきた。

「うんっ!!!めっちゃ大好き‥でもよく分かったね?」
まさか誰かに気付いてもらえるとは……

「まぁーな。それ俺のねぇーちゃん持ってるし俺もレッシア好きだし?」

「す‥好きなんですかっ!?」

「おぉ。おもろいからな〜お前よくレッシアのシャーペン使ってたから屋上で話しかけてやったんだぜ?」

「ほ‥本当ですか…」
類は友を呼ぶってこのことですか?

「お前は『村上』だからしずるかフルポンが好きなの?」

「わ‥私は、ロッチが好きです」

「マジ?俺はジャルが好きぃ〜〜〜」

「ジャルも面白いよねっ!」
こんなお笑い話ができる人この学校にいないと思ってた。

「じゃーさ、大阪であるbaseよしもとのチケット余ってるけど行く?」

「…え?」
今なんて?

「だからーbaseよしもとのライブ?行きたいかって言ってるんだよ」

「ええええぇぇ?か‥彼女は?」

「あいつはダメ。あいつお笑いとかさらさら興味ねぇーし?文句ばっかだろうからゼッタイつまんねぇーもん」

「というか、何故余ってるんですか…?」

「え?姉貴と行く予定だってけど姉貴その日どうしてもはずせねぇー仕事入ってよー…誰か行くヤツー…って思ったらお前がいたみたいなw」

蓮下君のお姉ちゃん、社会人なんだw

「で‥でも……」
私の脳裏にまりちゃんと茜ちゃんが浮かぶ。
もしこのことがバレたらなんて言うだろう?それに蓮下君の彼女も私が行ったらいい気しないよね;

「お前、俺の好きなヤツに遠慮するこったぁーないっ!芸人に生で会えるチャンス逃すのかよ?」
確かに…逃したくないけど…

「とにかく早めに決めろよ…明日の3時まで‥なっ?」

「う‥うん」
どーしよう。まりちゃんはまだしも茜ちゃんを傷つけたくない…今でも傷ついてるのに;

好きな人と自分の友達が二人で遊びにいくのっていい気しないよね‥きっと。

もう、どうすればいいの?
『明日の3時まで‥なっ?』
……っ;早すぎるよ〜









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あきゅろす。
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